ネットワークの基本知識(エンジニア必修)
更新日:2025-09-22
- 基礎と応用
ネットワークプロトコル:TCP/IPを中心に
書籍では必ずといっていいほどOSI 7層モデルが説明されていますが、机上で理解できる優秀な方は、ネットワークの基本が書かれた本を熟読されると良いでしょう。
筆者は、OSIや階層モデル(〇〇レイヤー、〇〇層といった表現)がどうも苦手でした。その概念を習得できたのは、業務を通じて体感し、TCP/IPなどのネットワークプロトコル全体が何となく理解できるようになった後でした。数年を費やし、ようやくレイヤー2とレイヤー3を理解するに至りました。机上学習であれ、実務経験であれ、LANケーブルの基本から順に学び、挫折せずにルーティングまでたどり着く必要があります。これは例えるなら、数学で数Iから数IIをしっかり理解した後に、積分などを学習するようなものです。
そのため、昔の自分に教えるとしたら以下のようになります。ここからが本題です。

TCP/IP通信の実際
過去にはAppleTalkなども限定的に使われていましたが、現在は主流であるTCP/IPについて説明を進めます。多くの技術で成り立つネットワーク利用の一例として、ホームページ閲覧の場合を説明します。大まかではありますが、インターネットを用いた通信はだいたいこのようになっています。
パソコン(Webブラウザ)
↓ ↑
LANケーブル(Wi-Fiでもいい)
↓ ↑
HUB(存在しない場合もある)
↓ ↑
ルーター(無線アクセスポイントでも可)
↓ ↑
インターネット(通信キャリア、プロバイダなど、ルーターなども複雑に絡み合っている)
↓ ↑
ルーター(複数存在し、通信の交通整理を行う)
↓ ↑
ファイアウォール(不審な通信を除去する検問所)
↓ ↑
サーバー(ホームページのコンテンツ)
ここまでの話は、何となくでもご理解いただけたとして、この先はネットワーク技術者には避けて通れない、筆者も苦手とした通信レイヤーの話に触れたいと思います。

ネットワークのレイヤー
ネットワークはレイヤーの概念で理解するのが一般的です。ネットワークのレイヤーとは、ネットワークの通信プロトコルを役割の違いによって階層的に分類したものです。ネットワークレイヤーの分類方法には2つのモデルがあります。1つは上述のTCP/IPモデル、もう1つはOSI 7層モデル(OSI参照モデルとも呼びます)です。
OSI7 階層モデル
OSI 7層モデルとは、ネットワーク通信を7つのレイヤー(階層)に分けたモデルです。国際標準化機構(ISO)で策定されました。OSIはOpen Systems Interconnectionの略で、いずれかのレイヤーで問題が生じると、通信は正常に行われなくなります。
OSI 7層モデルのレイヤーは、具体的には下記に分類されます。
レイヤー1(物理層)
LANケーブルや電波などが該当します。コネクタ形状や周波数などが互いに合っていないと、通信が確立しません。
レイヤー2(データリンク層)
MACアドレスに従って次の経由地にデータを届け、不明な場合はブロードキャストするか破棄する層です。
レイヤー3(ネットワーク層)
届け先であるIPアドレスに向かって、どのネットワーク経路でデータを届けるかを決定する層です。
レイヤー4(トランスポート層)
データを運ぶ層です。TCPやUDPといったプロトコルにより、確実に届ける方法や手順が規定されています。
レイヤー5(セッション層)
データ通信の開始や終了の形式などを規定する層です。通信の確立から切断までの一連の流れを管理します。
レイヤー6(プレゼンテーション層)
データが適切な形式に変換されたり、文字コードが定義されたりするなど、表現形式を規定する層です。異なるシステム間でデータが理解できるように、共通の形式に変換する役割を担います。
レイヤー7(アプリケーション層)
ヒューマンインターフェースを担い、頭脳的な役割を果たす層です。Webブラウザ、メールクライアント、ファイル転送など、ユーザーが直接利用するサービスやアプリケーションがここに属します。
レイヤー1~7を大別すると、レイヤー1~4はネットワークインフラ、つまりハードウェア寄りの役割と言えます。残りのレイヤー5~7は通信アプリケーション、すなわちソフトウェア寄りの役割と捉えられます。レイヤー7は、Webサイト、ブログ、ゲーム、SNS、コンテンツといったユーザーインターフェースを含む、ユーザーにとって最も身近な分野です。
ホームページ閲覧を例に具体的なIT用語を入れると、それぞれのレイヤーについて以下のようになります。
レイヤー1(物理層):LANケーブル(UTP、光ケーブル)、Wi-Fi電波、イーサネット(物理的な規格)
レイヤー2(データリンク層):MACアドレス、VLAN、スイッチング、スパニングツリー、QoS、ARP、イーサネット(データリンク層の機能)、HUB
レイヤー3(ネットワーク層):IPアドレス、ルーティング、NAT、アクセスリスト、TCP/IP、ルーター、インターネット、ファイアウォール
レイヤー4(トランスポート層):TCP、UDP、ポート番号、ファイアウォール
レイヤー5(セッション層):API呼び出し、RPC(Remote Procedure Call)
レイヤー6(プレゼンテーション層):SSL/TLS、JPEG/MPEGなどのデータ形式、文字コード変換、データ圧縮
レイヤー7(アプリケーション層):HTTP、HTTPS、FTP、SMTP、POP3、IMAP4、DNS、TELNET、Web、email、SNS、IP電話
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2020/1/31 HCNETビジネス推進グループ担当Y
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