HCI(Hyper-Converged Infrastructure)とは?その意味から注目の背景、メリットまで解説!
- 基礎と応用
社内のスペースやコストなどの課題を解決するサーバー仮想化は、現在、多くの企業で導入されています。そのサーバーの仮想化を実現する、一つの方法である「HCI(Hyper-Converged Infrastructure)」が近年、注目を集めています。
今回は、HCIの基礎知識から、HCIが注目されている背景、HCIのメリットまで解説します。
HCIとは?
まずはHCIの概要を確認しておきましょう。
HCIとは
HCIとは、「Hyper-Converged Infrastructure(ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ)」の略称で、サーバーの仮想化を実現する一つの方法です。
HCIでは、1台の機器でサーバー・ストレージ(外部記憶装置)・ネットワーク・ソフトウエアすべての機能を担うことができるので、シンプルな構成でサーバーの仮想化を実現します。そのためHCIであれば、迅速かつ手軽に仮想化基盤を用意することが可能になります。
もともと「Converged Infrastructure(CI)」というしくみがあり、HCIは、CIをさらに進化させたものです。
CIもサーバー・ストレージ・ネットワーク・ソフトウエアを一つのデバイスに統合したものですが、それぞれのリソースはバラバラです。そのため、管理もサーバー、ストレージ、ネットワークなどそれぞれ別々に行う必要がありました。その点、HCIでは、管理も一つで済むのが大きなメリットです。これにより、複雑な設定・管理が不要になりました。
サーバーの仮想化とは?
サーバーの仮想化そのものの意味も確認しておきましょう。サーバーの仮想化とは、ハイパーバイザーと呼ばれる仮想化ソフトウエアにより、複数のハードウエアを一つにすることで、1台の物理サーバーを複数台の仮想的なサーバーに分割して利用するしくみです。
サーバー台数を集約できるほか、ハードウエアを新たに購入しなくてもサーバーを容易に追加することができることから、ビジネスの変化に素早く対応できるようになります。
HCIが注目されている背景
従来のサーバー仮想化を実現する環境の構成は複雑で、容易に導入できない企業も少なくありませんでした。このような中、HCIは、そのシンプルな構成から、サーバー仮想化をより簡単に実現できる手段として注目を集めています。
3Tier型仮想化インフラの課題
従来のサーバー仮想化の方法は、「3Tier型仮想化インフラ」が主流でした。
3Tier型仮想化インフラとは、サーバー、SAN(※)スイッチ、ストレージの3層に分けた3Tier型の構成にすることで、いずれかの物理サーバーに障害が起きたとしても、システムが稼働し続けられます。
※SAN:Storage Area Network。サーバーやストレージによるネットワークを構築する際に必要な中継装置。
しかし3Tier型の構成では、サーバー、SANスイッチ、ストレージをそれぞれ別々のシステムで管理する必要があり、その管理の煩雑さが課題となっていました。
CI(Converged Infrastructure)の課題
次に登場したのが、CI(Converged Infrastructure/コンバージドインフラ)です。
CIは、サーバー仮想化に必要なサーバー・SANスイッチ・ストレージのハードウエアと共にソフトウエアも含めたすべてがパッケージングされた製品です。
しかしサーバー・SAN・ストレージそれぞれを別々に管理・運用を行わなければならないことについては、3Tier型と同様です。管理の煩雑さは変わりませんでした。
またCIであっても導入規模は大きいものであり、手が出せない企業も多いのが実情でした。
HCIが課題を解決
これまでのサーバー仮想化においては、煩雑で属人的になりがちな管理や運用負荷を軽減したい、小規模なシステム構成で使いたい、必要に応じて容易に拡張できるしくみが欲しいといったニーズが存在していました。
そこで生まれたのがHCIです。
HCIでは、従来の3Tier型やCIと異なり、1台の物理サーバーの中に、サーバー仮想化を実現するために必須となるサーバー・ネットワーク・ストレージの機能が含まれているため、別途、SANスイッチやストレージは必要ありません。
HCIを採用することで、サーバー仮想化はごくシンプルな構成で実現できるようになります。そのため、管理の負担が大幅に削減され、導入も手軽に、小規模から始めることが可能です。
拡張が必要なときには、容易に追加の物理サーバーを接続することで可能になります。
HCIのメリット
HCIは、近年の多くの企業ニーズを満たしています。そのメリットには次のようなものがあります。
シンプルな構成で短期間に導入が可能
HCIは物理サーバー1台に、サーバー仮想化に必要な機能が全搭載されているため、構成がシンプルです。そのため、構築・導入はシンプルで、短期間に導入できます。SANやストレージに関する専門的知識やスキルが必要ないという点も、導入をスピーディーに行える理由です。
スモールスタートが可能・導入コスト削減につながる
HCIは最小構成により、初期導入費用を極力抑えながら導入が可能です。また省スペース化が可能であることから、コストも抑えられる可能性もあります。いずれにしてもスモールスタートが可能になるため、導入しやすい点がメリットといえます。
拡張が容易
拡張が容易に行えることもメリットの一つです。従来の仮想化環境は構成が複雑で、環境を拡張する際の負担も大きいものでした。サーバー拡張の際にはストレージやSANスイッチの設定変更の必要性もあり、なかなか容易ではありませんでした。
その点、HCIでは、構成は物理サーバー1台だけなので、設定も1台で済みます。新たな物理サーバーを増設するだけで、容易に専門スキルなしで環境の拡張ができます。この点も、スモールスタートに向いている点といえます。ビジネスの成長に伴い、拡張していくという方法を採用することができるためです。
運用負荷軽減
従来は複数の管理システムを、サーバー、SANスイッチ、ストレージそれぞれに対して用いて管理していましたが、HCIは一つの管理システムで運用できるため、運用やメンテナンス負荷の軽減につながります。
障害時の対応もしやすい
万が一、障害が起きたときにも、HCIにHigh Availability(HA)の機能が備わっている場合には、1台のサーバーが停止しても、ゲストOSを別のサーバー上で自動的に再起動させることができます。継続して稼働できる能力、つまりデータの可用性が高く、ビジネスの継続性が高いといえます。
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