国立大学法人 横浜国立大学 様
ニーズ拡大を受け順次展開してきた無線LAN環境
高信頼の機器と可視化ソリューションで運用性も向上
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国立大学法人 横浜国立大学 様
ポイント
- 無線LANアクセスポイント増加に伴う管理性の課題を解消
- 故障の少ない機材で運用担当部署の負担を抑制
- 可視化ソリューション導入で、運用安定化向上と新型コロナ対策側面支援
導入製品
- HPE Aruba AirWave
- HPE Aruba Central
- HPE Aruba モビリティ・コントローラー
- HPE Aruba 無線AP
- Aruba Contact Tracing
- APRESIA LANスイッチ
無線LANアクセスポイントの増加で管理が困難に
大学憲章として、現実の社会との関わりを重視する「実践性」、新しい試みを推進する「先進性」、社会全体に門戸を開く「開放性」、海外との交流を促進する「国際性」を掲げる、国立大学法人 横浜国立大学。横浜市保土ケ谷区の常盤台キャンパスに、5学部・6大学院が集約されている。
「人文系、社会系、理工系などの多様な専門性を有する教員が1つのキャンパスに集まっている点は、本学の大きな特色の1つといえるでしょう。幅広い分野での連携を通じて、知の統合型大学をめざしています」と、横浜国立大学 情報戦略推進機構 情報基盤センター 副センター長の志村俊也氏は説明する。
情報基盤センターでは、全学共通のネットワークやメールなどのシステム環境の構築・運用や学生・教職員のアカウントの管理などを担当している。その業務の中で近年、拡充が進められてきたものの1つが、無線LAN環境の整備だ。
「導入を始めたのは、今ほど無線LANが浸透していなかった頃でした。当初採用していたのは集中管理機能のない機種で、アクセスポイント(AP)の数を増やす予定はありませんでした。そのためAPを個別に設定・管理していたのですが、無線LANのニーズが増大するにつれAPの台数は100台近くにまで増え、次第に管理が追いつかなくなってきました」(志村氏)
コントローラーによる集中管理を行うため
既存APから段階的に更新
この課題を解消すべく横浜国立大学は、APを集中管理できる無線LANソリューションとして、エイチ・シー・ネットワークス(当時:日立電線株式会社)が提案したHPE Aruba 無線LANソリューションを採用することにした。
「エイチ・シー・ネットワークスには、しばしば厳しい要望を出しましたが、一つひとつに対して真摯に対応してくれました。同社の対応力や技術力は高く評価しています。また、大学特有の事情を熟知した提案をしてくれる点にも満足しています」(志村氏)
横浜国立大学はArubaの無線LANコントローラーを導入し、APも順次導入を開始した。しかし、既存のAPを一斉に置き換えることは予算の都合などから困難だったため、まずは新規に設置する箇所へArubaのAPを導入した後に、古いAPをArubaへと更新していったという。こうして更新が完了し、すべてのAPがArubaの製品で統一されることになったと志村氏は語る。
「Arubaで統一されるまでは、利用方法をそろえるため既存APと同じくWeb認証で運用し、移行が完了してからWPA2エンタープライズ認証に切り替えました。その利用手順は、入学時にクイックガイドを配布するほか、情報基盤センターのWebサイトに掲載している程度ですが、利用方法に迷うことなく、使いこなしているようです」
キャンパス全域で約300台のAPを運用
可視化ソリューションでさらに使いやすく進化
横浜国立大学の情報基盤センターがAPを設置するのは、講義室などさまざまな教員・学生が利用する場所に限られるという。研究室などは教員の判断で、独自にAPを導入・管理している。
「こうしたポリシーでAPを設置しているのですが、設置の要望が相次いだことからAPの数は年々増加し、2021年時点では300台以上に増えています。段階的に増設したり、古くなった機器を更新したりしていく間にもAPは進化しており、新しいモデルになるにつれてマウントキット周りの扱いやすさなどが改善されてきている点も評価できます」(志村氏)
特にAPの増設が急激に進んだのは、2020年のことだった。横浜国立大学では、2024年3月にPC教室を廃止し、BYODに変更することを予定しているため、それに備えるためにも無線LANカバレッジの拡大が求められていた。また、これは新型コロナウイルス感染防止対策の一環でもあるという。三密回避のためオンラインを併用したハイブリッド授業を実施することになり、学生たちがオンデマンドで受講できるよう、講義棟すべてをカバーする形で約100台のAPを追加したのだ。
さらに、コロナ禍に関連して、Arubaの新たなソリューションも2021年に導入した。
「無線LANの利用ログから、感染者と接触した可能性のある者を特定することは可能かという相談を大学側から受けました。手動でログを解析すれば特定はできますが、相応の時間がかかります。ログを自動解析し、接触した可能性のある者を簡単に特定できるようなソリューションはないものかと、エイチ・シー・ネットワ-クスに相談したところ、『Aruba Contact Tracing』を紹介してもらいました。Contact Tracingは安価な製品ではありませんので、大学側に導入について相談したところ、許可を頂きました。」と、志村氏は説明する。
Aruba Contact Tracingを利用するために必要となった のは、Aruba AirWaveとAruba Centralだ。このうちAirWaveは、学内のオンプレミス環境に導入された。導入費用を抑えるため、サーバーは情報基盤センターが別途調達したものを使っているという。
「導入は7月末に完了しました。ContactTracingは、大学側から調査依頼があった場合のみ使用する機能ですので、普段は利用していません。しかし、AirWaveの可視化機能については、無線LAN管理上、大変役立っています。
10年間で故障は3台のみ高信頼の機器が広大なキャンパスを支える
かつてゴルフ場だった横浜国立大学のキャンパスは、広い上に起伏もある。その中に張り巡らされた有線/無線のネットワークは、膨大な数の機材で構成されている。多くの業務を担う情報基盤センターは、機材の信頼性にも助けられていると志村氏はいう。
「ArubaのAPは信頼性が高く、導入し始めてから10年弱の間に故障したのは3台だけです。また、APRESIA SystemsのLANスイッチも、これまでほとんど故障したことがありません。もし機器が故障したら、広いキャンパス内を移動して現地へ行かねばなりませんが、どちらも安定して稼働してくれているので、手間が掛からずに済んでいます。やはりネットワーク機器は、ダウンしないことが重要ですね」(志村氏)
情報基盤センターでは今後も、ネットワークの増強や機能強化を進めていく方針だ。
「無線LANについては、講義棟への展開が完了したので、大規模な増設は当面ないでしょう。しかし、WPA3への対応を急ぎたいので、2~3年内にはAPをWPA3対応機種へ更新したいと考えています。また、一部の棟ではLANスイッチが100Mbpsで、その配下にある無線LANの通信速度も遅いことから、上流側までさかのぼってスイッチを入れ替えることを検討しています。エイチ・シー・ネットワ-クスには今後ともわれわれの課題を踏まえた提案を期待すると同時に、予算の限られる大学組織でも導入できるよう、より安価な内容で行ってもらえるとうれしいです」(志村氏)
お客様情報
国立大学法人 横浜国立大学 様
1949年、戦後の学制改革に基づく新制国立大学として、横浜経済専門学校、横浜工業専門学校、神奈川師範学校、神奈川青年師範学校を母体に発足。2004(平成16)年には法改正に伴い国立大学法人へ移行した。現在では、教育学部、経済学部、経営学部、理工学部、都市科学部の5学部と、6大学院を中心に、附属学校や研究センターなど多彩な施設・機関を運営。