ネットワークとは?用途や規格、関連機器をご紹介
- 基礎と応用

ネットワークは、パソコン、スマホなどの通信端末や各種サーバーの間をつなぎ、情報の伝送を行うための通信設備のことであり、通信回線と通信機器から構成される。
目次
ネットワークとは
ネットワークとは、グローバルなインターネットやLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などの情報通信ネットワークのことである。人脈、道路網はじめ社会インフラなどもある意味ネットワークであるが、このコラムで取り上げるネットワークは情報通信ネットワークとする。
ネットワークは、パソコン、スマホなどの通信端末や各種サーバーの間を有線や無線でつなぎ、情報の伝送を行うための通信設備のことであり、通信回線と通信機器から構成される。世界をつないでいるネットワークがインターネットであり、クモの巣のように地球を取り巻いていることからWeb(=クモの巣)ともいわれる。ネットワーク構成の物理的な形状(トポロジーという)は、部分的にはリング型であったり、放射線状に形成するスター型であったり、すべてをつなぐメッシュ型であったりする。交通インフラでいうと、リング型が山手線などの都市型環状線、スター型が駅を中心に各方面に向けて発着するバス路線、メッシュ型が各都市空港の間をつなぐ飛行機といったところだろうか。

通信設備
通信設備は、通信回線と通信機器から構成される。
通信回線には、Wi-Fiでおなじみの無線LAN、イーサネットなどの有線LAN、大手通信キャリア回線、光ファイバー回線、昔ながらの電話回線などがある。ITインフラとも呼ばれる。赤外線やミリ波などもあるが細かいことは無視して進めたいので、お詳しい方はその辺ご容赦願いたい。
通信機器は、ルーター、スイッチングハブ、ファイアウォール、無線アンテナ、光中継機器とそれらを接続するケーブルなどから構成される。
Wi-Fiルーター、LANケーブル、配線部材なのもネットワークの一部といえる。
これらの通信設備を介し、末端のパソコン、スマホ、Webカメラ、プリンタ、サーバーなどのコンピュータ機器類、さらにはIoT対応のさまざまな物が接続される。

ネットワークの用途
ネットワークの用途は、身近なところでいうと、電子メール、Webサイトの閲覧、ネットショッピングや電子決済、SNS、ファイル共有、動画配信やネット生放送、オンラインゲーム、IP電話、各種クラウドサービス利用など幅広い。IoTを活用した家電の遠隔操作や防犯カメラ監視なども普及しつつある。
さまざまな業界で利用されているネットワーク。官公庁、学校、病院、物流、製造、放送、研究所、金融、各種サービス業や農林水産業まで、あらゆる分野ですでにネットワークは利用されている。
利用範囲が広いということは、これからもネットワークは発展を続け、未来に渡りさまざまな利用価値が生み出され実用化されていくことだろう。ネットワークの発展と同時に、ネットワークに依存し過ぎることの弊害が出ているのも事実であり(依存症など社会問題、災害時の通信インフラ広域障害)、併せて注意していく必要があるだろう。あらゆる事態に万全ではないということを踏まえつつ、ネットワークをうまく利用していきたい。
ネットワークプロトコル
ネットワークで通信を行うには、ネットワークプロトコルが必要となる。ネットワークプロトコルとは、通信に関する規約を定めたものだ。
ネットワーク関連の機器やデバイスは世界中の様々なメーカーが独自に開発を進めているが、それぞれ全く異なる規格で開発してしまうと通信ができなくなってしまう。そこで、ネットワークプロトコルという統一規格を設けることで、異なるデバイスやシステム間でのデータ交換が標準化され、異なるネットワーク機器での通信ができるようになる。ネットワークプロトコルには、データの形式、送信方法、エラー検出と訂正、接続の確立と終了など、通信に関する様々な側面を規定している。ネットワークプロトコルには「TCP/IP」「HTTP」「FTP」「SMTP」などがあるが、中でも代表的な「TCP/IP」について簡単に解説する 。
「TCP/IP」はTransmission Control Protocol(TCP)とInternet Protocol(IP)の2つのプロトコルから成り立っている。TCPはデータを確実に送信するためのプロトコルだ。データを小さなパケットに分割し、それが正しい順序で、かつすべて届くように管理している。エラーが発生した場合には再送信を行うなど、信頼性のある通信を保証している。一方でIPはデータがどの経路を通って目的地に届くかを決定するプロトコルだ。各デバイスにはIPアドレスという固有の識別子が割り当てられ、これを使ってデータの送信先を指定している。このTCPとIPが連携することで、データを送受信することができるようになっているのだ。

ネットワークの基本知識(エンジニア必修)
ネットワークの基本となるネットワークプロトコルTCP/IPについて基礎から説明。TCP/IP通信の実際、OSI7階層モデルについても解説します。
ネットワークの規格
ネットワークには、通信を実現するためのルールが国際規格として定められている。このルールを知ることが、基本技術を正確に理解するために重要と言えよう。通信回線や通信機器のインターフェース規格と、通信プロトコルであるTCP/IPの規格がネットワークには欠かせない。ネットワークの規格は、ハードウエアやソフトウエアが互換性を持ち、相互に運用可能であることを保証するための技術的な基準やガイドラインだ。このネットワーク規格によって、ネットワークに接続する機器やシステムが同じネットワーク上で動作できるようになる。一般のユーザーがどの国のどの機器を使用しても問題なく使用することができているのは、このネットワーク規格の恩恵なのである。身近なものにはIEEE 802.3(イーサネット)、IEEE 802.11(Wi-Fi)などがあり、それぞれ簡単に解説する。
・イーサネット (Ethernet)
イーサネットは有線接続に使う技術の一つで、最も広く使用されているネットワーク規格だ。1970年代に開発され、IEEE 802.3として標準化されている。デバイスを接続するために使用するLANケーブルや光ファイバー、さらに同軸ケーブルといった専門的なケーブルもイーサネットを使用したものである。
・Wi-Fi
Wi-Fiは、無線LAN技術の一つで、ワイヤレスでデバイスをインターネットやネットワークに接続するためのネットワーク規格だ。1990年代に開発され、IEEE 802.11として標準化されている。
これらのネットワーク規格は今でも進化し続けており、より大容量のデータをより高速で通信できるようになっている。

ネットワークの基本技術と規格
通信回線や通信機器のインターフェース規格と、通信プロトコルであるTCP/IPの規格とは。ネットワーク接続、LAN基本構成についても解説。
ネットワークを7つの階層に分けた「OSI参照モデル」
OSI参照モデル(Open Systems Interconnection Reference Model)とは、国際標準化機構(ISO)によって制定されたネットワーク通信の定義を示した国際的な標準モデルだ。異なるネットワーク機器やプロトコルが相互に通信する際のガイドラインとして機能しており、ネットワーク設計やトラブルシューティングにおいて非常に重要なものである。このモデルを理解することで、ネットワークの各層でどのような役割が果たされているかを明確に把握でき、問題が発生した際にどの層で解決すべきかを特定するのに役立つ。また、異なるメーカーや技術間での互換性を確保するための共通の基盤としても機能する。具体的には以下の7つの階層に分けて体系的に整理されている。
1層.物理層(Physical Layer)
データを物理的な媒体を通じて伝送するため、コネクターの形状や周波数などのハードウエアの仕様を定義するもの。
2層.データリンク層(Data Link Layer)
隣接するネットワークデバイス間でのデータ転送を確実に行うための通信を規定するもの。
3層.ネットワーク層(Network Layer)
異なるネットワーク間の通信方法を規定するもの。
4層.トランスポート層(Transport Layer)
データの信頼性や完全性を保ち、正確な通信を規定するもの。
5層.セッション層(Session Layer)
通信セッションの確立、管理、終了までを規定するもの。
6層.プレゼンテーション層(Presentation Layer)
データの形式や構造を変換し、異なるシステム間でのデータの互換性を確保するための方法を規定するもの。
7層.アプリケーション層(Application Layer)
ユーザーとネットワークの最上位層であり、アプリケーションがネットワークを利用するための方法を規定するもの。
ネットワーク認証とは
ネットワーク認証とは、ネットワークやサービスにアクセスするときに相手を特定するための手段だ。認証をすることでなりすましを防ぎ、悪意のあるアクセスから守ることができる。ネットワーク認証には以下のような種類がある。
1. パスワードベースの認証:
パスワードベースの認証は最も一般的な認証方法の一つで、ユーザー名とパスワードの組み合わせを使用する。ユーザーが正しい認証情報を提供すると、ネットワークアクセスが許可される。しかし、パスワードは推測や盗難のリスクがあるため、強力なパスワードポリシーの実施が重要である。
2. 二要素認証 (2FA):
二要素認証はセキュリティを強化するために、2つの異なる認証要素を要求する。例えば、パスワードと一時的なコード(スマートフォンアプリやSMSを通じて受け取る)を組み合わせるなどだ。これにより、一つの要素が侵害されても、ネットワークが保護される可能性を高めることができる。
3. 多要素認証 (MFA):
多要素認証は、二要素認証よりもさらにセキュリティを強化するために、2つ以上の認証要素を使用する。これには、知識(パスワード)、所有物(セキュリティトークン)、生体認証(指紋や顔認証)などが含まれ、要素が多い分セキュリティが高くなるものだ。
4. 生体認証:
生体認証は、指紋、顔、網膜スキャンなどの生体特徴を使用してユーザーを識別する。
これらの方法は複製が難しいため、セキュリティが非常に高いが、設備や技術が必要で、コストがかかる場合がある。また、一度コピーされてしまうと、突破されるリスクがかなり高まるという危険性もある。
5. RADIUS認証:
RADIUS認証は、ネットワークアクセスサーバーと中央のRADIUSサーバー間で認証情報を交換するプロトコル。VPNや無線LANなどでよく使用される。
6. Kerberos認証:
Kerberos認証は、シークレットキー暗号技術を使用して、ネットワーク上のサービスへの安全なアクセスを提供する認証プロトコル。チケットベースの認証メカニズムを使用し、ユーザーのパスワードがネットワーク上で直接送信されることはない。
このように、ネットワーク認証には多くの種類があり、シーンに応じて使い分けることが推奨される。

認証とは?
さまざまな認証方法やおすすめ製品をご紹介
ネットワークや機器の認証についての重要性が高まっています。今回は、認証とは何か、そのさまざまな認証方法をご紹介します。
ネットワーク設計とは
ネットワーク設計とは、ネットワークインフラに求められる要件を、設計書として計画し、構築するための作業のことだ。ネットワーク設計の目的は、求められた要件に応じた異なるデバイス間でのデータのやり取りを可能にし、ユーザーが必要な情報やリソースにアクセスできるように、計画を立てることだ。この設計が誤っていると、構築後にうまく動作しない、というトラブルが発生してしまう。そのため、提案、基本設計、詳細設計と段取りを立てて、徐々に進めていく必要があるのだ。
提案段階では、まずネットワークの要件を理解することが重要となる。これには、使用するデバイスの種類、データの量、セキュリティの要件、将来の拡張性などが含まれる。これらを踏まえて基本設計を行う。全体の構成図とセキュリティ方式、IPアドレス設計や、冗長構成の範囲などもこの段階で決める。
これらが決まると、次に詳細設計に進む。ここでは基本設計に基づいた詳細の構成図や、具体的にな機器・ソフトウエア、作業手順書などが含まれる。
更に、この設計通りに進めるためのスケジュールや、運用後の保守体制も設計の大きな役割となる。

ネットワークの設計
ネットワークの設計とは、ネットワークインフラに求められる要件を具体的な設計書、提案書、スケジュール計画書にする作業です。ネットワークの設計について、提案から構築スケジュール調整まで説明します。
ネットワーク関連機器
ネットワークには、ルーターやサーバーといった機器が使われていることは、ご存知の方も多いだろう。ルーターとは、ネットワークの中継機器であり、サーバーは、ネットワーク上で他のコンピューターに情報やサービスを提供するコンピューターを指す。さらには、快適なネットワーク環境を実現する負荷分散装置や、長距離・大容量伝送を可能とする光伝送装置といった機器が使われることもある。ネットワークを理解する上で、関連機器の役割と機能は不可欠だ。

ネットワーク関連機器
ネットワークに関する具体的な製品を幅広くご紹介。スイッチ・ルーターから負荷分散装置、光伝送装置、仮想化製品、ストレージまで。
ネットワーク構築のご相談はエイチ・シー・ネットワークスへ
企業や官公庁・自治体、病院、大学などでネットワークを新しく構築する場合、あるいは、今あるネットワークの問題を解決しようとする場合、ネットワークソリューションを提供する会社に問い合わせ、打ち合わせをして要件をまとめ、見積提案を受けるのが大まかな手順になる。商社や機材メーカーなどがネットワークソリューションも提供しているが、低コストで信頼性の高いネットワークの構築なら、まずはネットワークの専門会社に聞いてみるのがおすすめだ。
エイチ・シー・ネットワークスは提案から構築・保守までネットワークをトータルでサポート。官公庁・病院・大学のネットワーク構築実績も豊富なので、ぜひ一度お声がけください。