ネットワークの構築手順
- 構築・運用
ネットワークの構築手順について、全体像をまとめてみる。
情報通信端末やサーバーをつなぐのが情報ネットワークである。通信インフラともいう。このネットワークが期待する通りに使えるよう、通信機器や通信回線を設置、設定することが情報ネットワークの構築だ。主にネットワークエンジニアの仕事である。
ネットワーク構築とは、おおよそ次のような手順で行う。ネットワークの要件まとめ、設計、設定、設置、動作確認、運用(監視、保守)といった具合だ。この順に説明したい。
ネットワークの要件まとめ
ネットワークを構築するためには、まず、ネットワークの要件つまりネットワーク利用者の要望をまとめる必要がある。どれくらいの規模で、どんな端末を無線LANあるいは有線で接続したいのか、トラフィックは集中するのか、セキュリティはどう考えるのか。そして、ネットワークを利用して何をやりたいのか、何を期待しているのか。例えばWeb会議をVPN経由でやりたい、コストをかけてでも情報漏洩は絶対に避けたい、シンプルでとにかくレスポンス良くしたいなど、要望は多種多様であろう。現状もよく調査しておく必要がある。可能な限り実際に現場を見て状況を確認したい。設置場所、作業スペース、制限事項、保守監視の有無、既存ネットワークの状況、問題点などを聞き出す必要もある。
設計
設計となると複雑な作業が待っている。対象となる拠点数、フロア数、パソコンなどの端末台数、インターネットとの通信量や通信速度、WANとの接続規格、既存システムなどとの取り合い方法(仕様)、接続するケーブル種別、端末IPアドレスなど機器設定パラメータ、冗長構成、セキュリティ、監視設計など、さまざまな要件を具体的な形にする。必要な機器やソフトウエアの数量表、構成図などを含む設計書類、機器の電源確保や搭載ラックの準備、作業手順やスケジュール調整、人件費含めた費用の算出なども必要だ。
ネットワークの設計
ネットワークの設計についてのヒント、提案から構築スケジュール調整まで説明します。
設定
設計書に従い、機器やソフトウエアなどのネットワーク構成品に対し各種設定作業を行う。いわゆるコンフィグの作成と投入がこれだ。インストール作業である。機器単体試験など基本的な動作確認もしておきたい。
設置
ルーターやHUBなどイーサネット機器の設置作業やWAN/LAN配線工事、機器への電源投入、他システムとの接続などを行う。何度かに分けて計画的に実施することもある。ここまで進むと、ネットワークが形としてでき上っているはずだ。次は問題なく動作するかどうかだ。
動作確認
全体の動作試験を行う、設計した通りに機能するか、ネットワークの要件をきちんと満たしているかの最終確認となる。時間的制約のある新旧システムの切り替え作業などを同時に行うこともある。既存あるいは新規の通信回線や各種システムと連携して正しく動作するのか、ネットワーク構築の成否が試される。緊張する重要な局面だ。
必要に応じたトラブルシューティング
何も問題がなければそれに越したことはないが、通常は何らかの問題が生じるだろうからトラブルシューティングが必要となる。現象を正確に把握した上で的確な対策を施すことになる。ネットワークエンジニアはじめシステムエンジニアの腕の見せ所だ。
運用(監視、保守)
稼働し始めた情報ネットワーク。全く管理もせずにそのまま使っていればいいという訳にはいかない。接続する機器やシステムが変わった時、セキュリティ対策を更新すべき時、あるいは機器が故障した時、さまざまな変化に対し、情報ネットワークもそのままではなく、何らかの対応が必要となる。そのためには、常に通信状態を監視しておき、しかるべき保守体制も整備しておく必要がある。
以上がネットワーク構築の一連の手順である。それぞれの項目について抜け目なく実施して進めたい。その中でも、設計に関することがネットワークエンジニアの本業である。
ネットワークの設計は、こちらから。
さらにトラブルシューティングは経験と実力がものをいうプロフェッショナルなネットワークエンジニアリングといえよう。ネットワークのトラブルシューティングは、こちらから。
2022/3/8 HCNETビジネス推進グループ担当Y
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