RADIUS入門 3分でわかる認証からサーバーのしくみまで
- 基礎と応用

RADIUSサーバーという名称をよく耳にするものの、具体的にどんな役割を持つサーバーなのかわからない、導入を検討してはいるものの必要性が知りたいということもあるでしょう。
そこで今回は、RADIUSサーバーとは何か、RADIUSサーバー認証のしくみと流れ、必要性を解説します。
目次
RADIUSサーバーとは
RADIUS(ラディウス)とは「Remote Authentication Dial In User Service」の頭文字を取ったもので、ネットワーク上のユーザー認証プロトコルの一つです。
そしてRADIUSという認証プロトコルを使って認証サービスを提供するサーバーを、RADIUSサーバーと呼び、古くからダイアルアップ回線やISPのサーバーとして利用されてきました。
現在は、無線LANや有線LANにおけるネットワーク接続の際、ユーザー認証プロトコルとしても利用されており、主にセキュリティを強化するのにRADIUSサーバーが活用されています。

RADIUS認証の仕組み
RADIUSによる認証システムは、「RADIUSサーバー」「RADIUSクライアント」「ユーザー」の三つの要素で構成されています。
RADIUSサーバー:RADIUSクライアントからのリクエストを受け、認証処理を行うサーバーです。
RADIUSクライアント:ユーザーとRADIUSサーバーを仲介するネットワーク機器を指します。
ユーザー:ネットワークに接続するユーザーおよび端末のことです。
RADIUS認証は、簡単にいうと、次のような流れで行われます。
1.ユーザー→RADIUSクライアント→RADIUSサーバー
まずユーザーのネットワークに対するアクセスに対して、RADIUSクライアントがユーザーに認証を要求します。ユーザーがIDとパスワードを入力すると、RADIUSクライアントは、受け取ったIDとパスワードを使って、RADIUSサーバーにアクセス認証をリクエストします。
2.RADIUSサーバー→RADIUSクライアント→ユーザー
RADIUSサーバーは認証処理を行い、RADIUSクライアントに認証の可否を伝えます。
RADIUSクライアントは、認証結果が可であればユーザーがネットワークへアクセスできるようにしますが、否であればアクセスできません。RADIUS認証では、不正なRADIUSクライアントや、不正なRADIUSサーバからの接続要求を防ぐために、RADIUSクライアントとRADIUSサーバー間でIPアドレスを指定しています。
さらに、IPアドレスの指定だけでは完全に防ぐことはできないため、RADIUSクライアントとRADIUSサーバー間で共有暗号鍵(Shared Secret)を事前に設定することで、信頼できるRADIUSクライアント、 RADIUSサーバーとだけ通信を実現できます。
ポイントは、RADIUSサーバーがユーザーと異なるネットワークに存在し、認証を行うしくみにあります。

RADIUSサーバーの証明書認証の仕組み
・EAP-TLS
EAP-TLSとは、EAP(Extensible Authentication Protocol)実装の1種で、TLSは「Transport Layer Security」の略です。
RADIUSサーバーとRADIUSクライアント間で電子証明書による認証を行う認証方式です。RADIUSクライアント側はクライアント証明書をインストールしておき、RADIUSサーバー側はサーバー証明書をインストールしておくことで、証明書による認証ができます。
一度証明書をインストールしてしまえば、ID/パスワードの入力が不要になることが大きな特徴です。一方で、秘密鍵情報が漏洩・流出してしまったときには、すぐに失効できるような対策が必要です。
・EAP-PEAP
マイクロソフト社、シスコシステムズ社、RSAセキュリティ社が共同開発した規格です。
Microsoft社製品ではMS-PEAP、シスコシステムズ社ではCisco-PEAPが実装されており、仕様に違いがあります。RADIUSクライアント側はID/パスワードにより認証を行い、RADIUSサーバー側も電子証明書の準備が必要です。
・EAP-TTLS
TTLSは「Tunneled TLS」の略称です。
クライアント側は電子証明書を発行せず、ID/パスワードにより認証する認証方式です。
暗号鍵を用いることでID/パスワードの通信を保護しています。

RADIUSサーバーの必要性
現在、RADIUSサーバーを導入している企業が多く存在します。なぜRADIUSサーバーが必要なのでしょうか。その理由は複数あります。ここでは、主なものを紹介します。
・無線LANのセキュリティ認証強化
組織のネットワークセキュリティを強化するには、認証が重要であることは周知の事実です。RADIUSサーバーを利用することで、従来のIDとパスワードのみの認証と比べ、強固な認証を行うことができます。
・認証レベルの変更が柔軟に行える
RADIUSサーバーは、認証レベルを柔軟に変更できる利点もあります。ユーザー単位、あるいはアクセス経路によって、ユーザー認証方式の切り替えが可能です。つまり、同じユーザーがノートPCを使って社内にいるときに接続する場合と、社外に移動中にネットワークに接続する場合とで認証レベルを変更することができます。社外からのアクセスの場合、認証レベルを高めることで、よりセキュリティを高めることができます。
・ネットワーク機器の負荷低減
RADIUSサーバーは外部に設置することにより、管理を外部で行うことができるので、その分、ネットワーク機器の負荷を下げることができます。
・ネットワーク機器認証の一元化
RADIUSサーバーは、1台でさまざまなネットワーク機器の認証を一元管理することができます。そのため、ユーザーが一つのIDとパスワードで異なるネットワーク機器を利用できるようにすることも可能です。

RADIUSサーバーの導入事例

県内に先駆けGIGAスクール構想の全校無線LANを整備
甲州市ではICT教育にも力を入れています。この分野においては県内屈指の先進自治体で、GIGAスクール構想にも一早く対応しています。本構想は、児童・生徒に1人1台の端末、学校に無線LANを整備し、これらを活用して学習活動の一層の充実を図るというもの。各校に展開した無線LANには、正当な端末だけが接続できるようネットワークセキュリティを施しています。このセキュリティ機能に、エイチ・シー・ネットワ-クスの認証アプライアンスサーバー「Account@Adapter+」を導入しています。

Arubaの最新ICTを活用し医療現場を止めない無線LANを構築
NTT東日本関東病院は、NTT東日本の直営病院という位置付けにあることから、ICT活用にも積極的な姿勢で取り組んでいます。将来的に職員に配布していたPHSを廃止しスマートフォンに置き換えるという計画があり、IP-PBXの導入を前提としたネットワーク構成で、なおかつ約2000台ものスマートフォンが接続でき、さらにこれまで病棟エリアが中心であった無線LAN提供範囲を病院全域に拡大させる、といった要件をクリアしなければなりませんでした。それをクリアしたベンダーがエイチ・シー・ネットワ-クスでした。

キャンパスLAN、データセンター、SINET、屋外無線LANを大幅刷新し、運用サービスまで提供
駿河台大学では情報化にも力を入れており、屋外グラウンドを含めたキャンパス全域に無線LAN環境を展開してきました。2013年に整備したその環境は、当時としては充実した内容だったが、導入から数年の間にいくつかの課題が顕在化し始めていたといいます。中でも大きな課題のひとつは、SSIDが数十にも分かれていたことでした。ネットワーク認証のトラブルが多く、サイバー攻撃の高度化もあり、ネットワークセキュリティの強化も求められていました。そのような多岐に亘る課題に応えたのがエイチ・シー・ネットワ-クスでした。
RADIUSサーバー Account@Adapter+
RADIUSサーバーは、強固な認証セキュリティが求められる企業活動において、必要性の高いサーバーといえます。
エイチ・シー・ネットワークスが提供している「Account@Adapter+(アカウント アダプター プラス)」は、デバイスのアクセス制御に必要なRADIUSをはじめ、認証局、アカウントデータベース、DHCPといった各種コンポーネントを一つのアプライアンスサーバーで利用できる製品です。
さまざまな認証スイッチや無線LAN、VPN装置などと連携し、接続するネットワークを柔軟に制御可能で、許可されていないユーザーや端末の接続を防止することで、セキュリティを強化することができます。
Account@Adapter+が対応するRADIUS認証
Account@Adapter+では「Web認証」「MAC認証」「IEEE802.1X認証」の3つに対応しております。一般的なRADIUSサーバー製品と異なり、MAC認証にあたっては、MACアドレス形式が混在している環境でも認証ができるので、接続環境ごとの登録管理の手間が不要です。そのため、さまざまなユーザーが利用する学校ネットワークのセキュリティ対策としても有効です。
RADIUS認証の構築ならエイチ・シー・ネットワークスへ
セキュリティを強化するRADIUSですが、利用環境に合わせた認証システムの構築には多くの専門的な知識や技術が必要です。
エイチ・シー・ネットワークスでは、筑波大学様、インフォコム様、東北工業大学様を始め、多数のRADIUS認証システムを構築をしてきました。
RADIUSサーバーのデモや貸し出しも行っておりますので、RADIUS認証に関するご相談はお問合せページからお気軽にご相談ください。
また、RADIUS以外にもネットワークのセキュリティ強化をご支援しています。くわしくは下記のリンクからご覧ください。