これからのIoTを支える920MHz帯の無線通信規格IEEE802.11ah

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これからのIoTを支える920MHz帯の無線通信規格IEEE802.11ah

IEEE802.11ahとは

detail51_img01.pngIEEE802.11ahとは、IEEEで規定された920MHz帯の無線通信規格である。低消費電力で広範囲をカバーするという特徴をもつLPWA(Low Power Wide Area)である。 2.4GHz/5GHz帯を用いたWi-Fiと比べて、省電力(空中線電力20mW以下)、長距離伝送(約1km)が可能であるが、通信速度は数Mbps程度なので、遠隔地の映像や状態監視などに適している。日本国内では規格上、連続通信はできないので(送信時間はDuty10%に制限)、滑らかな高画質動画ストリーミングには不向きであり、コマ送りのような動画(フレームレート10fps程度)や定期的なデータファイル伝送に適している。主に、現場監視カメラ、水位などの監視データ伝送、工場内装置のファームウエア伝送に利用されている。

これまでのWi-Fi(ワイファイ)との違い

IEEE802.11ahは、これまでのWi-Fiと比較すると、周波数が低いことにより主に以下の特徴がみられる。

detail51_img02.png

IEEE802.11ah これまでのWi-Fi
電波の周波数帯 920MHz帯 2.4GHz帯や5GHz帯
電波が回り込み 回り込みしやすい 回り込みしにくい
通信距離 1km程度 50m程度
通信速度 数Mbps 数十Mbps
Duty Duty10%(間欠通信) Duty100%(連続通信)
動画画質 低画質またはコマ送り 高画質かつ滑らか
消費電力 2W程度 20W程度
利用環境 屋内、屋外 屋内

IEEE802.11ahの活用例

detail51_img03.pngIEEE802.11ahの電波が届く範囲は広く、1km程度(ブリッジ利用の場合は数km)離れた遠隔地の監視カメラ映像やセンサー状態計測など郊外におけるIoT通信に適しており、防災、防犯、設備監視に活用が期待できる。 特に公共インフラにおいて監視カメラの活用が期待されており、主な監視対象は河川(増水、水位監視)、道路(冠水、渋滞情報)、ダム(水位監視)、交通機関(車両監視)などである。企業においては、建設現場でのデータ収集や、野生の獣類侵入による農作物被害監視、教育現場や医療機関での防犯監視など、遠隔通信の利用が期待されている。旅行者にとっては、道路の渋滞情報、観光地(渋滞、天候)などがある。将来的にスマート農業(遠隔監視、データ収集、鳥獣検知)、地域の防犯システムなど、活用範囲は幅広い。このようにさまざまな場所での利用が考えられ、今後もさらに活用範囲が広がることが予想される。

IoT向けWi-Fi規格IEEE802.11ah(Wi-Fi HaLow™)の活用と今後の展望(動画)は
こちら https://youtu.be/9Lv8oi_4TlU 

IEEE802.11ahの課題

detail51_img04.png電波を使う通信に共通の課題だが電波干渉に注意が必要である。IEEE802.11ahはこれから普及していく段階なので、現時点ではまだ大丈夫でも将来的には電波干渉による通信障害が発生する恐れがある。電波利用のルールを守ることはもちろんであるが、技術的な対策としては干渉状況の検知と回避制御の機能が無線機器に求められるだろう。ほかにも無線通信システムを構築する際の注意点として、無線アクセスポイントなど通信機器への電源供給やメンテナンス作業の要領に関しても計画的に準備する必要がある。遠隔地といった設置環境や災害対策などの活用目的を踏まえ、災害時でも耐え得る設計が必要となろう。

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2023/11/20 HCNETビジネス推進グループ担当Y
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