屋外無線LANで拠点間ネットワークを構築するメリット

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屋外無線LANで拠点間ネットワークを構築するメリット

見通しの良い複数の拠点を持つ企業が拠点間で専用ネットワークを構築し、データのやり取りやコミュニケーションを行うためには、屋外無線LANで拠点間ネットワークを構築することが一つの方法です。

今回は、屋外無線LANの概要から活用シーン、屋外無線LANによって拠点間ネットワークを構築するメリット、構築時の注意点まで解説します。これから屋外無線LANの構築を検討される場合には、ぜひ最後までご覧ください。

屋外無線 LANとは?

まずは屋外無線 LANとはどのようなものなのか、確認しておきましょう。

●屋外無線LANとは?

屋外無線LANとは、屋外に構築する無線LANを指します。無線LANは、屋内に構築する場合と屋外に構築する場合とでは大きく仕様が変わるため、屋外に対応した無線LANを導入する必要があります。

●無線LANとは?

そもそも無線LANとはどのようなものなのか、確認しておきましょう。

無線LANは、ケーブルを接続せずに、無線の電波によって通信する「LAN=Local Area Network(ローカルエリアネットワーク)」の一種です。LANとは限られたエリア内にだけ構築されるネットワークを意味します。

無線LANの規格の一種である「Wi-Fi(ワイファイ)」については、耳なじみがあるのではないでしょうか。Wi-Fiは、無線LANが利用できる周波数帯のうち、2.4GHz帯と5GHz帯と6GHz帯に対応しており、一般に普及しています。周波数帯とは、日本では総務省が管轄している電波の周波数を利用用途で区分けしたものです。

2.4GHz帯は、家電製品などにも使われており、電波干渉を受けやすいため、5GHz帯や6GHz帯より安定性で劣ります。一方、5GHz帯や6GHz帯は障害物に弱いことから、2.4GHz帯のほうが回り込みで電波が障害物の影でも届きやすく、通信できる範囲が広くなります。

また無線LANは、Wi-Fiの周波数以外の帯域が使われることがあります。例えば屋外無線LANを構築する際には、960MHz帯、60GHz帯、70GHz帯などが利用されることがあります。屋外無線LANは屋内の一般的な無線LANと比較して、より長距離の無線通信が行える仕様で構築されています。

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屋外無線 LANとは?

屋外無線LANの活用シーン

屋外無線LANは、次のようなシーンで活用することができます。

●拠点間(建物間)ネットワーク

拠点間のネットワークは長距離であるため、公道で分断されているケースや光ファイバーがあらかじめ敷設されていないなど有線でつなぐことはむずかしいケースがあります。そのため、屋外無線LANが候補に挙がります。屋外無線LANでつなげることで、拠点間でデータのやり取りが可能になります。

●工場や倉庫と事務所をつなぐネットワーク

自社所有の工場や倉庫と、事務所をつなぐネットワークとしても、屋外LANは活用できます。工場においては機械のモニタリングや、監視カメラによる不審者の監視、倉庫においてはトラックの積み荷状況などのデータを事務所に伝送することが可能になります。

●ホテル・旅館の本館・別館の各客室のネットワーク共通化

ホテルや旅館では、本館と別館といったように、近隣で複数の建物に分かれていることがあります。このような場合、屋外無線LANを利用すれば、本館と別館のネットワークをつなぐことができます。また各客室内にAP(アクセスポイント:無線LAN(Wi-Fi)の電波を送受信する基地局のような機器)を設けておけば、宿泊客も無線LAN利用が可能になります。これにより本館と別館のネットワークを一体化することができます。

●屋外イベント

広大な会場で開催される屋外イベントでは、スタッフ間の通信コミュニケーションや、各催し物スペースに設置したカメラからのデータ収集などに屋外無線LANが役立ちます。

屋外無線LANの活用シーン

屋外無線LANによる拠点間ネットワーク構築のメリット

屋外無線LANを用いて拠点間ネットワークを構築するメリットをご紹介します。

●情報共有のネットワーク化

有線WANを敷設しにくい場所に屋外無線LANを構築することで、有線WANと同等程度の情報共有がネットワークを通じて行えるようになります。従来、拠点間で人が移動して書類を手渡したり、電話連絡したりして手間と時間がかかっていたものが、ネットワークを構築することにより、即座に共有可能になります。

●有線接続と比べて低コスト

屋外無線LANの構築や運用コストは、有線WANと比べて抑えられる傾向があります。無線LANでは、有線WANに必要なケーブルなど手配と敷設工事にかかる費用が不要です。そのため、低コストで利用が開始でき、運用コストも低く抑えられます。

●災害時のBCP対策にもなる

屋外無線LAN環境を構築しておけば、その通信インフラはBCP対策にもなり得ます。 BCP対策とは、企業が事業継続のための計画に基づいて取る対策のことです。災害やパンデミック(世界的大流行)などの緊急時に、早期復旧・事業継続のための取り組みです。

主に有線WANのバックアップとして役立ちます。有事のときに既設の有線WANに障害が生じた際にも、屋外無線LANに切り替えれば通信が可能です。

屋外無線LANによる拠点間ネットワーク構築のメリット

屋外無線LAN構築時の注意点

次に、屋外無線LANを構築する際の注意点をご紹介します。

●屋外利用可能なWi-Fiは限られている

日本では電波法による規制があり、屋内・屋外・上空それぞれに利用できる帯域が制限されています。

屋外で利用できるのは基本的に2.4GHz帯と5GHz帯の一部のみです。
5GHz帯はさらに5.2GHz帯、5.3GHz帯、5.6GHz帯に細分化されますが、基本的に5.6GHz帯の利用は可能です。ただし、5.6GHz帯は気象レーダーと干渉しないよう、上空での利用は禁止されています。

また5.2GHz帯は条件付きで利用可能です。利用条件は、APや中継器などを総合通信局に登録することです。端末は登録済みAPや中継器を利用する場合のみ使用可能です。他に、5.2GHz帯は自動車内無線LANとして利用が可能です。

無線LANの屋外利用可否と必要条件

「電波利用ポータル|その他|無線LANの屋外利用について」(総務省)

出典:「電波利用ポータル|その他|無線LANの屋外利用について」(総務省)

また長距離無線LANには4.9GHz帯、60GHz帯、70GHz帯の周波数帯が使われることがありますが、それぞれ登録の必要有無や利用条件が異なります。

屋外無線LAN環境を構築する際には、注意しましょう。

●屋外対応機器の必要性

APや中継器などの機器は、屋外に対応した製品を選ぶ必要があります。例えば5GHz帯に対応していても、5.6GHz帯に対応したものでなければ利用できません。
また屋外用途に耐え得る防水・防塵、耐温度などの性能面も確認しましょう。

●メッシュ型とツリー型の理解と選定

無線LANの構築方式として代表的なメッシュ型とツリー型の理解をしておくと構築時に役立ちます。

・ツリー型

LANスイッチを起点に、APを有線により樹木状につなぐ方式です。APは複数設置することがありますが、AP同士はつなぎません。それぞれのAPは直接LANスイッチに接続するため、安定的な速度での通信が可能です。

・メッシュ型

親機となるAPを起点に複数のAP同士を網の目のように結ぶ方式です。AP同士の接続は無線です。APを広範囲に増設できるため、電波の弱い場所を極力減らせます。一方、直接LANスイッチとつなぐツリー型と比較して、メッシュ型は複数APを多段で利用することで、やや速度が落ちるといわれています。

上記の違いを理解した上で、活用用途に応じて最適な方式の選定を行いましょう。

屋外無線LAN構築時の注意点

まとめ

屋外無線LANは、企業のオフィスや店舗、施設などの拠点間ネットワークを可能にする方法です。最適な環境が構築できれば、ビジネスの成長や生産性向上が期待できます。

エイチ・シー・ネットワークスでは、屋外無線LAN構築に役立つ無線LAN製品を複数ご提供しております。

無線LAN(Wi-Fi)の構築はもちろん、トンネルなどの閉鎖的な空間でも無線LAN通信を実現する漏洩同軸ケーブル(LCX)のご提供も可能です。

また最長30kmまで通信可能な長距離無線LANや用途に応じて移動体向けの無線LANのご提案も可能です。

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