シングルサインオン(SSO)とは?仕組みやメリットをわかりやすく解説

更新日:2025-09-22

  • 基礎と応用
シングルサインオン(SSO)とは?仕組みやメリットをわかりやすく解説

現在、多くの企業でさまざまなクラウドサービスの導入が進んでいます。しかし、従業員が複数のクラウドサービスにログインする際、その都度認証が必要となり、各クラウドサービスで異なる認証情報を使う場合には、非常に手間がかかり、生産性を低下させてしまうことがあります。また、セキュリティリスクや管理の煩雑さも課題となっています。

こうした課題の解決策として注目されているのが、シングルサインオン(SSO)です。今回はシングルサインオン(SSO)とは何か、初心者にもわかりやすくその仕組みと導入方法を解説します。

シングルサインオン(SSO)とは?

・シングルサインオン(SSO)とは

シングルサインオン(SSO)とは、ユーザーが1セットの認証情報だけで複数のアプリケーションやWebサイトにログインできる仕組みのことです。

シングルサインオン(SSO)は、一度ログインすれば追加の認証が不要となるため、社内でさまざまなビジネス系ITツールを利用する際などに、ユーザーの利便性を高めるだけでなく、IT管理者の運用業務の負担軽減にもつながるというメリットがあります。

また、多くのログイン情報を管理する必要があれば、それだけ紛失・漏洩リスクも高まりますが、シングルサインオン(SSO)は、1セットのIDとパスワードの管理を強化するだけで済むため、セキュリティ向上にも寄与する方法として利用されています。

・シングルサインオン(SSO)の認証と認可の違い

認証とは、本人であるかの確認を行うことです。身近な例では、パスワードの入力によるパスワード認証、指紋認証・顔認証などの生体情報による認証、電話番号でのSMS認証といった所持情報による認証、そして「知識要素」「所有要素」「生体要素」の3要素のうち2つ以上の異なる要素を使用する多要素認証などの種類があります。

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一方で認可は、権限を付与することを指します。具体的には閲覧権限、編集権限などがあります。シングルサインオン(SSO)では、認証されたユーザーに特定のサービスやシステムへのアクセス許可を与えるといった使われ方をします。

・シングルサインオン(SSO)の歴史

シングルサインオン(SSO)は元々、社内システムにアクセスする際の認証のために開発されました。当時は現在のように社外ネットワークのサービスを利用する機会が少なかったため、社内ネットワーク内のシステムで十分でした。

しかし、コロナ禍でのテレワーク・リモートワークやクラウドサービスの普及により、社外ネットワークへのアクセスが求められるようになりました。その結果、利用する社外ネットワークが増加し、管理するIDとパスワードも増大。管理工数を減らそうとするあまり、簡易的なパスワード設定やパスワードの使い回しといったセキュリティリスクの増大が問題視されるようになりました。
このような状況に対し、外部ネットワークでもまとめて認証できる技術が開発されたことで、シングルサインオン(SSO)の普及が一気に加速しました。

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シングルサインオン(SSO)の導入メリット

企業がシングルサインオン(SSO)を導入する場合に、どのようなメリットが得られるのか、具体的に解説します。

・ユーザーの利便性が高まる

シングルサインオン(SSO)を導入することにより、複数のクラウドサービスなどのツールを業務で利用するユーザーにとって、IDとパスワードが一つで済むようになり、入力も1回だけで対象ツールへのログインが可能になります。このように、複数のツールを効率的に利用できるようになるため、利便性はもちろんのこと、全体の作業スピードや業務効率性の向上にもつながるというメリットも考えられます。

・情報漏洩リスクが低減される

多くのIDとパスワードを管理する場合、人はどうしても覚えきれなくなります。そのため、メモに残したり、パソコンに付箋を貼ったりして忘れないようにするケースが見られます。しかし、こうした行為は情報漏洩リスクを高めることにつながってしまいます。シングルサインオン(SSO)を導入すれば、管理すべきIDとパスワードが一つだけで済むため、情報漏洩のリスクを低減できます。

・管理者の負担やコストが削減される

IDとパスワードの管理者にとって日常的に発生するのが、従業員からの「IDやパスワードを忘れた」といった問い合わせです。企業で利用するクラウドサービスの数が増えるほど、こうした問い合わせも増大するでしょう。パスワードを忘れた場合は再発行などの手間やフォローが必要となり、アカウントロックが発生した場合は、ロック解除の作業や従業員への説明などが必要になります。

シングルサインオン(SSO)を導入すれば、このような状況への対応策として、新たな仕組みを構築したり、追加人員を配置したりする必要がありません。従業員一人につき一つのIDとパスワードで済むようになるため、管理者の負担軽減やコスト削減が期待できるというメリットがあります。

シングルサインオン(SSO)の導入メリット

シングルサインオン(SSO)の導入デメリット

シングルサインオン(SSO)を導入する場合に、どのようなデメリットが存在するのか、具体的に解説します。

・不正アクセス時の被害拡大に注意が必要

不正アクセスが発生してしまった場合、被害が複数のシステムに広がる恐れがあります。そのため、根本的なパスワード管理を厳重に行い、定期的なパスワードの変更や二段階認証などのセキュリティ対策によって、問題を未然に防ぐことが求められます。

・システム停止によりログインができなくなる

シングルサインオン(SSO)システムが停止してしまった場合、すべてのサービスにログインできなくなってしまいます。そのため、サービス選定時にはベンダーの緊急時の対応力を確認し、自社での対応策も事前に検討しておくのが理想的です。

・サービスによってはシングルサインオン(SSO)を利用できない

シングルサインオン(SSO)にはいくつかの認証方式があるため、サービスによっては対応していない場合があります。

シングルサインオン(SSO)の導入デメリット

シングルサインオン(SSO)の導入デメリットを解消する方法

前述のとおり、シングルサインオン(SSO)導入のメリットは大きいものの、不正アクセス時の被害が拡大しやすいというデメリットもあります。しかし、デメリットを解消する方法もありますので、参考にしてみてください。

・IPアドレス制限

IPアドレス制限とは、特定のIPアドレス以外からのアクセスを制限できる機能です。重要情報が格納されているフォルダにIPアドレス制限を適用しておけば、万が一パスワードが漏洩したとしても、不正にアクセスされるリスクは軽減されます。

・ワンタイムパスワード

ワンタイムパスワードは、一度限り有効なパスワードのことで、不正アクセス対策にも有効です。ワンタイムパスワードを導入しておけば、ログイン情報が漏洩した場合でも、不正アクセスされる可能性を低減できます。

シングルサインオン(SSO)の導入方法

シングルサインオン(SSO)を導入する際の実装方式は、大きく分けて4種類あります。それぞれご紹介します。

・エージェント方式

Webサーバーに専用のエージェントソフトウェアを導入して、シングルサインオン(SSO)を実現する方式です。このエージェントソフトウェアは、シングルサインオン(SSO)用に用意した外部サーバーと連携し、認証の実施やアクセス権限のチェックを行います。

・リバースプロキシ方式

リバースプロキシと呼ばれるサーバーを、クライアントデバイスとクラウドサービスなどの間に中継させて認証を行う方式です。専用のエージェントソフトウェアをリバースプロキシ上に導入し、認証を行います。

・代理認証(フォームベース)方式

専用のエージェントソフトウェアが、ユーザーの代理でIDとパスワードを入力し、認証を行う方式です。エージェントは常駐しており、クラウドサービスやアプリケーションのログイン画面が起動することを検知すると、自動的にIDとパスワードを入力する仕組みです。

・SAML認証(フェデレーション)方式

SAMLとは「Security Assertion Markup Language」の頭文字をとったもので、ユーザー、SP(サービスプロバイダ)、IdP(Identity Provider/ID管理と認証を行うIDプロバイダ)の3者間で認証を行う方式です。まずユーザーがクラウドサービスにアクセスすると、SPがIdPへ認証を要求します。その後、IdPはユーザーのデバイスに専用のログイン画面を表示させ、ユーザーがログイン手続きを行います。IDとパスワードが一致すれば、IdPはSPに対して認証応答を送ります。受け取ったSPは、自動ログインを実行します。一度認証が成功すれば、SAML認証方式に対応する別のクラウドサービスなどへも自動でログインが可能になります。

デメリットを解消する方法

まとめ

シングルサインオン(SSO)は、クラウドサービスなどの利用が普及する昨今において、注目を集める機能です。メリットも大きいため、導入が進んでいます。

シングルサインオン(SSO)の実装を検討される際には、エイチ・シー・ネットワークスが提供する「SSO@Adapter(エスエスオー アダプター)」や「OneID@Adapter(ワンアイデイ アダプター)」がおすすめです。

SSO@Adapterは、Windows認証とネットワーク認証を連携させることでシングルサインオン(SSO)を実現するクライアントソフトウェアです。ユーザーはIDとパスワードを1回入力するだけで、認証ネットワークにログインできます。

OneID@Adapterは、Microsoft 365およびBoxのクラウドサービス利用者向けのシングルサインオン機能と、クラウドサービスのアカウント運用を自動化するプロビビジョニング機能を備えたサーバーです。

どちらの製品もシングルサインオン(SSO)を実装することで、利用者や管理者の負担を軽減し、セキュリティリスクを低減します。

詳細については、サービス紹介ページにて解説しておりますので、ぜひご覧ください。

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