株式会社寺岡精工 様
自社製品向けクラウドサービスの仮想化基盤をサービス型オンプレミスで再構築 設置場所を問わない柔軟性や拡張性に優れたシステム基盤を初期費用なしで導入
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株式会社寺岡精工 様
ポイント
- 仮想化基盤を刷新、優れた拡張性で将来にわたり柔軟な運用が可能に
- 初期費用不要で、機器費、設計・構築費、保守運用費すべてを月額按分請求可能なITインフラ利用サービスを採用。オフバランス化を実現
- 設置先のデータセンターとも調整し、安心の保守運用体制を構築
導入製品
- オンプレミスNEO Powered By SERVICE ORCHESTRA
- Nutanix: NX-8155N-G8-4314-CM / SW-NCI-STR-MC / SW-NCM-STR-MC
- ネットワーク機器
- ファイアウォール
- 負荷分散装置

パブリッククラウド移行を検討するも工数とコストが課題に
「日本初の商業用バネばかり」の開発・製造・販売で創業し、商品を乗せると同時に料金を計算しデジタル表示する「電子(デジタル)料金はかり」を世界で初めて開発するなど、新しい常識を作り出し続けてきた寺岡精工。現在では「はかり」からPOSシステム、倉庫や店舗管理のための各種システムなどへと事業の幅を広げ、流通小売り、食品加工、物流、飲食など各業種向けのさまざまな機器やシステムを広く手掛けている。
そして近年注力しているのが店舗総合管理システム• クラウドサービス「netDoA(ネットドア)」。同社のPOSレジやラベルプリンタと連携して販売管理機能を提供し、店舗運営者はPCやスマートフォンなどから場所や時間を問わずアクセスでき、販売実績の確認や商品設定などを行える。
netDoAは、多数の企業や店舗の運営に深く関わるだけに、システム基盤には高いセキュリティやパフォーマンス、信頼性が求められ、またユーザー増加や新サービス投入に合わせ柔軟に規模を拡大できる拡張性も必要だ。システム基盤は当初、自社施設内の物理サーバー上で構築・運用されていたが、その後は数年おきの更新に合わせ、災害に強いデータセンターへの移設やサーバー仮想化など、段階的に進化してきた。
同社 リテイル事業部 開発グループサーバーチーム アーキテクトの菅野 竜弥氏は、「前回の2018年更新では、初めて仮想サーバーに移行し、HCI(Hyper-Converged Infrastructure)とDB(DataBase)アプライアンスという形態になっていました。このときのシステム基盤が2023年に保守契約終了となるため、2021年の後半頃から、新たなシステム基盤の検討に着手しました」と説明する。寺岡精工がnetDoAの新たなシステム基盤の候補として最初に検討したのは、パブリッククラウドだった。主に初期費用低減と拡張性を意識してのことだというが、検討する中で課題が浮上してきた。
「2021年には、主要パブリッククラウドを移行先として想定していましたが、netDoAのデータ量を考えると一度に移行することは難しく、半年ほどの期間をかけて徐々に移行していかねばなりません。コストを抑えるため、パブリッククラウド上の環境も一気に構築するのでなく、段階的に構築しては移行する段取りが求められます。そうすると、われわれの工数が膨大なものとなってしまいます」(菅野氏)

リテイル事業部
開発グループサーバーチーム
アーキテクト
菅野 竜弥氏
ITインフラ利用サービスで価格を抑えてオンプレミスを継続
工数とコストの課題に直面した寺岡精工は、別の解決策を模索し、取り引きのあるITベンダー複数社にオンプレミスでの構成提案を依頼。これに応じて提案したのがエイチ・シー・ネットワ-クスだ。
「オンプレミスの更新は、パブリッククラウドとは違って初期費用が課題になります。これに対しエイチ・シー・ネットワ-クスは、初期費用不要で導入できるITインフラ利用サービスのオンプレミスNEOを提案してくれました。費用が月々の支払いとして平準化されるため、われわれとしては年間予算を立てやすくなります。また、これまでのエイチ・シー・ネットワ-クスの実績や知見、データセンター側スタッフとの運用保守の調整などにも期待していました」(菅野氏)
オンプレミスNEOは、サーバーやネットワーク機器などのシステム基盤製品を、初期費用不要の月額払いで導入できるサービスだ。これが決め手となって、寺岡精工はエイチ・シー・ネットワ-クスの提案を採用することに決定した。

Nutanixの採用により柔軟な拡張性とコスト抑制を実現
移行先となる新たなシステム基盤は2022年秋ごろから導入を開始し、2023年春ごろにはおおむね完了した。その後、netDoAのアプリケーションなどの導入に着手し、11月に移行を終えている。
「HCIには、Nutanixを新たに採用しました。今後もnetDoAの利用拡大に伴うリソース要求の増大が見込まれますし、新サービス投入の計画もありますから、HCIには拡張性が求められます。パブリッククラウドに比べると、オンプレミス環境では拡張が容易でない傾向がありますが、Nutanixはノードを容易に増減できるため、あまり心配していません。今まで使ってきたHCIに比べても、ノードの追加やリプレイスが容易です」(菅野氏)
リソース増減が容易というNutanixの特性に加え、オンプレミスNEOによる費用の平準化で、パブリッククラウドに近い使い勝手を実現したと言えよう。今回の新基盤について、菅野氏は以下のようにも語っている。
「検討段階から、開発に専念できるインフラにしていこうと考えていました。エイチ・シー・ネットワ-クスは、NutanixやITインフラ利用サービスの提案、さらにデータセンター側との調整まで対応してくれており、われわれの負担を軽くしてくれています。もちろん開発チームでもNutanixのコンソールなど通じて全体の稼働状況は把握していますが、システム構成が旧来の基盤よりシンプルになり、把握しやすくなりました」(菅野氏)
新たなシステム基盤になったことでDBアプライアンスが廃止されたこともメリットになっている。寺岡精工では、netDoAとは別のシステムでオープンソース系DBを使っており、今回はこれに一本化する形でDBアプライアンスを廃止した。
「社内の開発資産の集約になりましたし、アプリケーションもDBもNutanixに集約されてデータ保護がしやすくなっています。また、ライセンス費の低減でコスト抑制につながり、事業面でもメリットが出ました」(菅野氏)
オンプレミスとクラウドの適材適所での使い分けをめざす
前述のように、新たなシステム基盤にはNutanixのノード追加が計画されているほか、ノードの入れ替えが行われる可能性もある。Nutanixは、新たなノードを追加し、古いノードをシステムから切り離すことで、段階的にハードウエアを入れ替えることが可能だ。これにより、次回更新も初期費用不要で継続利用が可能となる。
「ノードの追加を予定していますし、入れ替えも含め有効活用していく方針です。もちろん長期運用の可能性も視野に入れています」(菅野氏)
一方で、全社的にはパブリッククラウド活用を基本方針にしていることから、オンプレミスのHCIとパブリッククラウドを適材適所で使い分ける方針を示している。
「netDoAのように多数のユーザーが利用する既存システムは、パブリッククラウドへの移行にさまざまな懸念があります。コストや工数の問題もありますし、全く違う環境に移行する際には思わぬトラブルが生じやすく、ひいてはユーザーに迷惑をかけるリスクも高まるのです。そうした理由から、今回はオンプレミスのHCIという形に落ち着きました。それに対し、これから新たに立ち上げるシステムでは、パブリッククラウドを使うのが妥当だと考えています。立ち上げ時の小規模なリソース利用では安価に抑えられますし、必要に応じて徐々に拡張していくことが可能です」(菅野氏)
オンプレミスにもパブリッククラウドにも、それぞれの良さがある。オンプレミスで課題となりがちな初期投資負担や拡張性について、エイチ・シー・ネットワ-クスが「新しい常識」となる解決策を示したことは、この使い分け の判断に一定の影響を及ぼしたと言えそうだ。
お客様情報
株式会社寺岡精工 様

流通小売り、食品加工、物流などの分野で使われる、電子はかりやPOSシステム、倉庫管理システム、 店舗管理システムをはじめとしたさまざまな機器やシステムを開発・製造・販売。
株式会社寺岡精工 リテイル事業部 開発グループサーバーチーム アーキテクト 菅野 竜弥氏
エイチ・シー・ネットワークス株式会社 営業本部 第二営業部 産業流通グループ 副部長 鈴木 裕史