情報配線システムの構築
株式会社スクウェア・エニックス 様
10Gネットワークの新オフィス開設
プロジェクト早期参画により工期やコストを圧縮
- 企業
- ネットワーク


株式会社スクウェア・エニックス 様
ポイント
- 幹線 100G/端末 10G ネットワークと大容量電源をゲーム開発エリアに確保
- 各フロアのスイッチラックと分電盤で信号遅延や電圧降下を抑制
- オフィス開設プロジェクト早期から参画、工期とコストの両方を圧縮
導入製品
- 情報配線システム
- 二次側電源配線



ゲームなどエンターテインメントの大手企業
ゲーム開発業務には高速ネットワークと大容量電源が必須
株式会社スクウェア・エニックス。「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」といったゲームの企画、開発、販売および運営を行うデジタルエンターテインメント事業を主軸に、コミック雑誌の定期刊行、コミック・イラスト・ライトノベルを掲載するウェブマガジンの定期更新、スマートフォン向けアプリを通じたデジタルコミックの配信、および連載作品のコミックスなどの出版と、それらを原作とする各種メディアミックス作品の企画・制作、またゲーム攻略本などのゲーム関連書籍の出版事業などを行っている企業だ。
ゲーム開発やコンテンツ制作などの業務は高スペックのPCが必須とされることが多く、高速なネットワーク接続と大容量の電源も欠かせない。同社総務部ファシリティチーフの小谷克仁氏は、以下のように説明している。
「ビッグタイトルの開発などの現場で使われているPCの多くは、ワークステーション級の高性能機です。ネットワークも端末側で10Gbpsの高速・広帯域とし、1人あたり4ポートを確保しました。遅延をできるだけ減らすためオフィスフロアに隣接するハブルームにスイッチを配置しています」
渋谷での新オフィス開設
既存環境を熟知するエイチ・シー・ネットワークスに相談

スクウェア・エニックスでは2020年より、ホームベースとオフィスベースとのハイブリッドな働き方を目指す在宅勤務制度を導入。並行して同時期に新オフィスに関する具体的な検討も開始された。
総務部ファシリティ担当の齊藤友朗氏は「社員のクリエイティビティをサポートする新しい環境を整備すべく、渋谷に新たな拠点を開設することになりました。ビルは当時まだ建設中でしたが、可能な限り早期の入居を目指すことになり、エイチ・シー・ネットワークスに相談したのです。30年近く当社のネットワークに関わり、新宿オフィスも熟知しているため、新オフィスへの提案にも期待しました」
ビルも完成していない、机の配置すら確定していない段階でのイレギュラーな相談に対し、エイチ・シー・ネットワークスは既存オフィスでの経験と、新オフィスのコンセプトなどをもとに、スクウェア・エニックスの総務部と相談しつつ仕様を策定し、工期やコストなどを見積もって提案を行った。
「新オフィスの詳細が決まっていない段階でしたから、当社のネットワーク敷設の経験がある会社でないと妥当な設計はできません。エイチ・シー・ネットワークスの提案は納得のできる内容でした」と小谷氏は評価する。
配線の取り回し、電圧降下対策などもシミュレーション
ビル所有企業やゼネコンと情報配線システムがスムーズに導入できるよう調整

新オフィスのネットワークは、今後を見据えて既存オフィスより強化されている。幹線100G/端末10Gのスイッチを採用、オール10G環境とした。配線もCat.6が主だったのに対し、すべてCat.6Aだ。電源は容量拡大に伴い、分電盤などの配置から設計していった。しかしこれにより、配線の設計難易度は高まった。総務部シニアマネージャーの村河良一氏は、配線の課題と解決の様子を、次のように振り返る。
「Cat.6AのケーブルはCat.6より径が太く、固くて曲がりにくいことから、『フリーアクセスフロアに収容できるのか』、『フリーアクセスフロアからの立ち上げは大丈夫か』といった懸念があったのです。しかしエイチ・シー・ネットワークスは事前にシミュレーションして、実現可能であることを示してくれました。電源も、電圧降下を避けるため分電盤からコンセントまでの配線長を適切な範囲に抑える必要がありましたが、当社とゼネコンとの間に立つ形で、それらの設計を固めてくれました」
エイチ・シー・ネットワークスはスクウェア・エニックス側関係者として、ゼネコンやビル所有企業などとの調整を主体的に担い、入居工事における情報配線システムがスムーズに短期間で導入できるよう設計支援に取り組んだ。完成引き渡し後では困難な工事も、事前に建築設備に反映すればスムーズに行える。例えば、通常のオフィスより多い分電盤の配置やフロア間の大量配線などが可能となるように、プロジェクト早期から参画し、ゼネコンに竣工前の先行工事を行っていただいたことで、工期短縮とコスト低減につながっている。
目標日程からブレなく新オフィスをオープン
既存オフィスのリニューアルにも着手

スクウェア・エニックスの渋谷オフィスは、ほぼ目標通り2024年秋にオープンを迎えた。「当社の電源およびネットワーク環境を熟知するエイチ・シー・ネットワークスだからこそ、このようなロケットスタートを切ることができたと言えるでしょう。建築コストが高騰する中でも、最大限のコスト削減ができました」と、総務部ジェネラルマネージャーの殿塚花月氏は総括している。
渋谷オフィスはさまざまな空間演出が盛り込まれており、社員や来客にも好評だと殿塚氏は語る。「渋谷オフィスには、当社のIP(Intellectual Property、知的財産)関連展示エリアを充実させました。ゲーム内のダンジョンを模した空間演出も実現し、社員や来客の方々にわくわくしてもらう場ができたかと思います。引っ越しに際して実施したオフィスツアーでも、参加した社員たちがとても喜んでくれました。来客数も増え、社内外の人的交流も盛んです。自社専用空間としてクリエイティビティをサポートする環境を提供できたと感じています」
渋谷オフィスへの引っ越しが終わり、現在新宿オフィスのリニューアル工事に着手している。「新宿オフィスは、そこにしかない機能もあるので、今後も渋谷オフィスと併存します。ネットワークの更新やリニューアルなどの工事を進めています。エイチ・シー・ネットワークスには引き続きお願いしたいです」(殿塚氏)
お客様情報
株式会社スクウェア・エニックス 様

下段左から 井上様 殿塚様 金子様 村上様
「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」といったゲームの企画、開発、販売および運営を行うデジタルエンターテインメント事業を主軸に、コミック雑誌の定期刊行、コミック・イラスト・ライトノベルを掲載するウェブマガジンの定期更新、スマートフォン向けアプリを通じたデジタルコミックの配信、および連載作品のコミックスなどの出版と、それらを原作とする各種メディアミックス作品の企画・制作、またゲーム攻略本などのゲーム関連書籍の出版事業などを手掛ける。