工場ネットワークの刷新

株式会社シグマ 様

高品質なものづくりを支えるネットワークを刷新
現場の自由度も確保しつつ、セキュリティや運用性を向上

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株式会社シグマ 様

世界的光学機器メーカー唯一の生産拠点
ネットワークの管理やセキュリティに懸念

 デジタルカメラ、交換レンズ(スチル/シネマ)、各種専用アクセサリーなどの光学機器の開発・製造・販売で世界的に知られる光学機器メーカーである株式会社シグマ。設立した初期の頃から独自ブランドをめざし、「他にはない、これまでにない製品」づくりに取り組んできた。レンズやカメラを含むさまざまな部品一つひとつに関して、一貫して自社生産にこだわっている点も同社の大きな特徴だ。

 同社のものづくりのほぼすべての工程を担っているのが、福島県磐梯町の会津工場である。1973年の稼働開始から50年以上、シグマ唯一の生産拠点として膨大な種類の製品を世に送り出してきた。そんな会津工場の中では、多種多様な工程における加工データ、部品や製品の検査データなどがネットワーク上を流れ、サーバーに蓄積されて品質管理などに活用されている。しかも、新たな加工技術の採用や設備の増強によってネットワークに接続される機器が増える機会も多く、ネットワークインフラには柔軟な対応が求められる。

 工場のネットワークには重要なデータが流れるだけに、その管理性や運用性、セキュリティも重要だが、そこには多くの課題が山積していたと、同社 経営企画本部 情報システム部 チーフの長谷川貴之氏は振り返る。

「ネットワーク機材は台帳で管理していたものの、常に最新の状態にメンテナンスをするのが難しく、またトラブル時も多くは使用している社員からの指摘で気づくような状況でした。情シス内でも主に経験や勘を頼りにした属人的な対応をしていたため、原因究明やトラブル解消にも時間がかかりましたし、スイッチが故障した場合の交換作業などは限られた人しかできませんでした」

株式会社シグマ 経営企画本部 情報システム部 チーフ 長谷川 貴之氏
株式会社シグマ
経営企画本部 情報システム部
チーフ
長谷川 貴之氏

 多様な機器の統合管理という側面でも懸念要素があったという。「ネットワークトラフィックを適切に把握できなかったため、サーバーなどの機材選定の判断材料も不足していました。そしてセキュリティ面でも、以前は接続端末の制限などをしていなかったため、悪意のある人が接続してしまう恐れもありました」と長谷川氏は語る。

 

シグマ会津工場ネットワーク概要

シグマ会津工場ネットワーク概要

認証アプライアンスも採用しセキュリティを強化した構成に刷新

 こうして会津工場では、既存ネットワーク機材の保守切れに伴い、課題解決に向けてネットワーク更新を進めることとした。複数ベンダーから提案を募り、採用されたのがエイチ・シー・ネットワ-クスだ。「本社新社屋のネットワーク更新の際に、情シス内でも高く評価されている機材を中心とした提案だった点も決定したポイントでした」と長谷川氏は語る。

 情シスにとって評価が高い機材の一例が、イーサネットスイッチの「Apresia」だ。ユーザーループ検知機能や、SDカードによる設定復旧機能など、運用面で役立つ機能を備えている。今回は、コアからエッジまですべてのスイッチに採用しただけでなく、管理ソフトウエア「AN-ManagerStation」も合わせて導入し、統合管理も図った。

 また、ネットワークセキュリティを向上させるべく新たに採用されたのが、認証アプライアンスサーバーの「HCNET Account@Adapter+」だ。これまで行っていなかった端末認証やVLANによるネットワーク分離を新たに実施し、DHCPサーバー機能も活用することになった。

 そのほか、無線LANも順次更新が進められることになった。無線LANアクセスポイントにはHPE Aruba Networkingの機材を採用、管理ソフトウエア「HPE Aruba Networking Central」や、一部にLCX(漏洩同軸ケーブル)も合わせて導入されている。

「アクセスポイントの台数を削減できるというLCXのメリットは大きいですね。現時点では会議室エリアなどで使っており、機材を集約できた上に、配線を天井裏にしたおかげで見た目もすっきりしています。もちろん快適に使えていますし、何の問題も出ていません」(長谷川氏)

大きなトラブルなく更新・導入を完了
復旧容易な機材による運用性改善も

 会津工場のネットワーク更新は2023年の後半から実施され、11月には有線LAN主要部分の機材更新や導入を完了、12月からは無線LAN環境の整備が順次進められている。更新や導入作業、および初期運用は大きなトラブルもなく、安定しているとのことだ。「特に気を遣ったのは、Account@Adapter+に関する部分です。多くの端末を固定IPアドレスからDHCPへ切り替えるほか、MACアドレス認証とVLAN導入も行うため、円滑に移行できるように綿密な検討や事前準備を行いました」と長谷川氏は振り返る。

 スイッチの更新にあたっては工場との日程調整に苦労したというが、それでも更新 は無事に進んだという。「エイチ・シー・ネットワ-クスの作業はとても正確で安心して任せることができました。また問い合わせや相談などにも誠実に答えてくれるだけでなく、追加の提案を示してくれるなど、とてもやりやすかったです」と長谷川氏は説明する。

 なお、今回のネットワーク更新に合わせて情報システム部では体制変更も進められていた。経験や勘に頼った属人的対応でなく、チームとしてさまざまな業務に対応できるようにするためだ。例えばスイッチに関しても、故障時の交換・復旧手順を明確化し、主担当の長谷川氏以外にも数人が訓練を行うなどして対応できるようにしている。

「Apresiaは信頼性の高い機材ですが、あるとき想定外の停電が生じた建屋で、その1台が立ち上がらなくなったこともありました。居合わせたスタッフが訓練通り予備機に交換してSDカードで復旧し、迅速に対処できています。これができたのは、Apresiaならではと言えるでしょう」(長谷川氏)

デジタル化が加速する中でさらなるネットワーク改善へ

 会津工場のネットワーク更新は、2024年末時点で無線LAN機材の入れ替え作業が一部残っている以外、ほぼ完了している。今後の課題の1つとして、AN-ManagerStationやAruba Networking Centralをより活用してデータに基づくインフラの運用・監視を進めていきたいと長谷川氏は話している。もう1点、新たに採用したMACアドレス認証やVLANについても、業務効率のために自由度を高めつつもセキュリティを確保するべく、より最適な運用をめざしていく構えだ。さらに、今後に向けた増強も視野に入れている。

「デジタル技術の進歩に合わせ、帯域増強は遠からず必要となるはずです。また、業務システムのクラウド化なども見据えて、クラウドへのダイレクト接続なども検討していかなければなりません。今後も引き続きエイチ・シー・ネットワークスの協力を期待しています」(長谷川氏)

お客様情報

株式会社シグマ 様

URL:https://www.sigma-global.com/jp/

株式会社シグマ

右より長谷川様、エイチ・シー・ネットワークス 第二システムエンジニアリング本部 第二エンジニアリング部第三グループ 齋藤祐樹

デジタルカメラ、交換レンズ(スチル/シネマ)、各種専用アクセサリーなどの光学機器の開発・製造・販売

右より長谷川様、エイチ・シー・ネットワークス 第二システムエンジニアリング本部 第二エンジニアリング部第三グループ 齋藤祐樹

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