社内ネットワークのしくみや構築方法を分かりやすく解説
- 構築・運用
社内にあるPCやOA機器などをつなぎ、データを共有するのに、社内ネットワークの構築が必要になります。新拠点を設けるなど、初めてネットワークを構築する場合、どのようなしくみなのか、またどのような手順で行う必要があるのか、疑問に感じることもあるでしょう。
そこで今回は、社内ネットワークの新規構築・見直しをする際に役立つ、ネットワークのしくみや構築手順を解説します。
社内ネットワークのしくみ
社内には、メールサーバーや業務システムを利用するサーバーなど、複数のサーバーがあります。社員が利用しているPCから、ネットワークを介してメールサーバーや業務用サーバーにアクセスすることにより、メールの送受信、勤怠管理や販売管理などの業務を行うことができます。
社内ネットワークには通常、インターネットも接続されており、社員のPCからはインターネットの利用もできます。社内ネットワークは、社外ネットワークにもつながっています。
さらに詳しく、社内ネットワークのしくみを知っておきましょう。社内ネットワークには、LANとWANの二つの種類があります。
1.LAN
LANはLocal Area Networkの略称で、一つのビル内など、限定された範囲に回線を引くことで利用できるネットワークです。社内ネットワークには、フロア内やビル内を接続する有線LANと、無線で通信して接続する無線LANがあります。
2.WAN
WANはWide Area Networkの略称で、例えば本社のPCと、距離が離れた別拠点のPC同士をネットワークでつなぎます。
3.有線LAN
有線LANとは、LANケーブルを使用してPCなどの端末を物理的に接続するネットワーク機器です。物理的に接続するため安定性に優れ、セキュリティも高いので無線と比較すると外部からの侵入が難しいですが、ケーブル自体による移動距離の制約があります。
4.無線LAN
無線LANとは、無線信号を用いて端末とネットワーク通信を行うためのネットワークシステムで、よく聞く「Wi-Fi」も無線LANに該当します。有線のような場所の制限がなく、接続範囲内であれば移動しながらでもインターネット接続が可能です。設置が容易で柔軟性も高く業務上のメリットは大きいですが、有線LANに比べると通信速度が不安定、セキュリティリスクが高いといったデメリットがあります。
5.LANケーブル
LANケーブルは、端末とネットワーク機器を物理的に接続するためのケーブルです。先ほどの有線LANとして接続する際に使用します、信号の干渉を受けにくく高速通信が可能で、耐久性も高いため長期間の利用に適しています。
6.HUB
HUBは、複数のLANケーブルが接続できるネットワーク機器で、 これにより複数の端末がでネットワーク通信できるようになります。
7.ルーター
ルーターは、異なるネットワーク間でデータを転送する装置です。データのルートを判断することから「ルーター」と呼ばれています。
8.サーバー
サーバーは、ネットワーク上でさまざまなデータやアプリの管理をすることができるシステムです。ファイルサーバー、メールサーバー、データベースサーバーなど、役割に応じた種類があります。
9.VPN
VPN(Virtual Private Network)は、インターネット上に仮想的なプライベートネットワークを構築し、安全にデータをやり取りする技術です。IDやパスワードといった接続情報を持ったユーザーしかログインできないため、一般的なインターネット接続よりも安全性に優れています。テレワークなどが普及した昨今では、使用する企業が増えています。
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社内ネットワーク構築のポイント
社内ネットワークを構築する際には、次のポイントを押さえることで、効率的に実施できます。
・自社に合うネットワークを判断
自社に必要なネットワークの構想を練ります。 まずはLANとWAN、有線LANと無線LANのどれをどのように利用するか決めます。PCの台数が多く、通信量が多い場合は、通信速度が安定している有線LANが採用されます。企業によっては、有線LANと無線LANの両方が利用されています。規模や利用目的によって自社に合ったネットワークを判断することが大切です。
・セキュリティをどう確保するか
不正アクセスによる情報漏洩やデータ改ざんなどの被害に遭うリスクを初めから想定し、社内ネットワークを構築する必要があります。どのような方法で高いセキュリティを備えたネットワークを構築するかは、重要な検討ポイントです。
・トラフィック量がどのくらいか把握しておく
ネットワークにおける通信量であるトラフィック量をあらかじめ把握しておくことで、過負荷によるサーバーダウンなどのネットワーク障害や通信速度の遅延への対応を準備しておくことができます。
・ネットワーク障害を見据えた組織づくり
トラフィック量にも関係することですが、ネットワーク障害を見据えた組織づくりも重要です。軽微なネットワーク障害に対応する人員の確保や、社内ネットワークを遠隔から監視できるリモート監視サービスの活用など、社内外のリソースを確保する準備も必要です。
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社内ネットワーク構築手順
社内ネットワークは、主に次の手順で構築していきます。
1.現状把握
まずは自社の現状調査を行い、必要な要件を洗い出していきます。ネットワークを見直す場合は、現状課題の洗い出しもしておきたいところです。
2.ネットワーク設計
社内ネットワークには、LANとWANの2種類があり、LANには有線と無線があるとお伝えしましたが、会社の規模やデバイスなどによって変わってきます。拠点数や接続台数に応じてネットワークを設計し、IPアドレス体系を決めていきます。
また、外部から社内ネットワークへのアクセスが必要かどうかによって、セキュリティ対策が変わってきます。
3.運用ルールや管理方法を決める
運用ルールや管理方法をマニュアル化しておくことが重要です。突然のネットワーク障害はいつ起きるかわかりません。障害対応についてマニュアル化しておけば、いざというときにも迅速な対応が可能になります。
ネットワークの運用管理は、マニュアル化以外にも、専用ツールを利用したり、外部に委託して監視や障害対応を行ってもらったりすることもできます。
特に、セキュリティ対策やネットワーク障害対応については、専門知識を要するため、自社だけでは検討できない事項です。その場合には、有用なセキュリティサービスや製品の導入を検討するのが良いでしょう。
ネットワークの設計
ネットワークの設計についてのヒント、提案から構築スケジュール調整まで説明します。
社内ネットワーク構築業者の選び方
企業が社内ネットワークを一から構築したり既存のものに手を加えたりする場合、実際には外部のネットワーク専門会社に依頼することも多いでしょう。そこで、社内ネットワーク構築会社を新しく探すときの三つのポイントを解説します。
1.実現したいことと同じようなシステムを構築した実績があるか
社内ネットワーク構築のようなソリューションサービスでは、契約前に完成品をお試しで使って動作を確かめることはしにくいものです。そのため、そのネットワーク会社のこれまでの実績が、委託先選びの大きなポイントになります。
たいていの会社の公式サイトには、ネットワーク構築事例が掲載されています。事例情報を見て、社内ネットワークの実績が豊富かどうか、また、社内ネットワークというくくりの中でも、今回自社で実現したいことと同じようなことをやっている事例があるかどうかをチェックしましょう。
2.最新のネットワーク機器やソリューションに精通しているか
ネットワークのシステムはハイテク分野の一つ。日進月歩で進化しているので、高速で安全で安定してつながる社内ネットワークを構築するためには、最新の機器やソリューションの知見が豊富な業者がよいでしょう。具体的には、ネットワーク関連の情報メディアで最近取り上げられているような製品や技術を取り扱っているかどうかがポイントになります。優れた社内ネットワークは、自社の従業員の生産性を上げ、サイバーセキュリティのリスクを引き下げてくれます。
3.サポート体制は必要十分な内容になっているか
社内ネットワークは構築後、日々の運用やメンテナンス、不具合対応といった業務が発生します。自社の担当者やエンジニアだけで解決できない課題が出てくることもあります。中でも大きな問題となる障害発生時に、障害部位の特定から復旧までサポートしてくれる構築業者を選びましょう。また、自社の近くにサービス拠点を持っているネットワーク会社のほうが、いざというときに安心と言えます。
まとめ
社内ネットワークのしくみや構築手順をお伝えしてきました。社内ネットワークは、自社の規模や端末台数、利用目的によって大きく変わってきます。エイチ・シー・ネットワークスでは、有用なセキュリティサービスや製品の導入をお手伝いしております。ぜひお気軽にご相談ください。
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