ZTNA(Zero Trust Network Access)とは?
VPNとの違いをわかりやすく解説【完全版】
- セキュリティ

近年、リモートワークなど多様化する働き方やDX推進により、デジタル環境が急速に変化しています。それに伴い、企業のセキュリティ対策はますます重要視され、ZTNA(Zero Trust Network Access)という考え方が注目されています。
ただ、ゼロトラストネットワークアクセスがどのようなセキュリティ対策なのか、また従来のVPN(Virtual Private Network)とどう違うのか、詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
そこで、本記事では、ZTNAの注目されている理由や実現するメリット、さらにVPNとの違いを詳しく解説していきます。
目次
ZTNAとVPNの違いとは?
はじめに、ZTNAとVPNの違いについてわかりやすく解説していきます。
●ZTNA(Zero Trust Network Access)とは
ZTNA(Zero Trust Network Access)の読み方は、「ゼットティーエヌエー」と読み、ゼロトラストネットワークアクセスの略称です。ZTNAとは、「ゼロトラスト」の原則に従い、厳密にアクセスを制御する考え方です。従来のネットワークセキュリティは、境界を設定し、内部と外部を区別することで防御を行ってきました。
しかし、クラウドサービスの普及やリモートワークの増加によりこの境界が曖昧になり、多くの組織が新たな課題に直面しています。このような課題から生まれた「ゼロトラスト」は、ネットワーク内外を問わず、すべてのアクセスを信頼せず、常に検証を行うというセキュリティモデルです。ZTNAは、ユーザーやデバイスがどこにいても、アクセスするリソースに対して厳密な認証と認可を行います。これにより、企業のリソースへの不正アクセスを防ぎ、セキュアな環境を実現します。
●VPN(Virtual Private Network)とは
VPN(Virtual Private Network)は、インターネットを介してプライベートネットワークを構築する技術です。VPNを使用すると、リモート環境からユーザーが企業のネットワークに安全に接続し、内部リソースにアクセスできるため重要なデータを閲覧・移行・共有することができます。VPNは、データを暗号化することで、通信のプライバシーとセキュリティを確保します。しかし、VPNは一度接続が確立されると、ユーザーはネットワーク内のすべてのリソースにアクセスできるため、セキュリティリスクが高まることがあります。
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●ZTNAとVPNの違い
ZTNAとVPNの最大の違いは、アクセス制御の方法にあります。VPNは、ユーザーが一度接続すると、ネットワーク内のすべてのリソースにアクセスできるのに対し、ZTNAはアクセスするリソースごとに認証と認可を行います。これにより、ZTNAはより細かいアクセス制御が可能で、セキュリティリスクを低減します。
さらに、ZTNAはユーザーやデバイスのコンテキスト情報(例えば、場所、デバイスの状態など)を考慮してアクセスを許可するため、より動的で柔軟なセキュリティ対策が可能です。一方、VPNは基本的に静的な接続であり、セキュリティポリシーの変更が難しいことがあります。
最後に、ZTNAはクラウド環境と相性が良く、リモートワークが一般化する現代において、より適したセキュリティソリューションとなっています。VPNは依然として有用ですが、ZTNAの導入により、より高度なセキュリティと柔軟性を実現することができます。

ZTNAが注目される理由~脱VPNの流れ~
続いて、ZTNAが注目される理由を解説していきます。
●多様化する働き方による影響
現代の働き方は、リモートワークやフレキシブルな勤務形態が増加しており、ユーザーのアクセス環境が非常に多様化しています。この多様化により、企業はリモートアクセス環境に対して統一したセキュリティポリシーを設定することが難しくなっています。
従来のVPNでは、すべてのユーザーに対して同一のセキュリティレベルを提供することが困難であり、セキュリティホールが生じやすくなっています。この問題を解決するために、ユーザーごとに異なるセキュリティポリシーを適用できるため、より細かいアクセス制御が可能なZTNAが注目されています。
●インターネットトラフィック・ユーザー数の増加による不安定な通信
業務アプリケーションのクラウド化とユーザー数の増加は、インターネットトラフィックを急増させています。これに伴い、VPNを利用した通信が不安定になるケースが増えています。VPNはすべてのトラフィックを一つのトンネルに集約するため、帯域幅の制約や遅延が発生しやすくなります。
一方、ZTNAはインターネットトラフィックを分散させることで、より安定した通信環境を提供し、さらに、ZTNAはクラウドベースのアプリケーションにも対応しており、ユーザーはどこからでもスムーズにアクセスできます。
●VPNサービスの脆弱性を狙ったサイバー攻撃
VPNサービスは、その構造上、特定の脆弱性を持ちやすく、これを狙ったサイバー攻撃が増加しています。特に、VPNの認証情報が漏洩した場合、攻撃者は簡単に企業の内部ネットワークにアクセスすることができます。
ZTNAは、ゼロトラストモデルに基づいており、すべてのアクセスリクエストを検証し、認証を行うため、VPNに比べてセキュリティが強化されています。また、ZTNAでは、ユーザーの認証情報だけでなく、デバイスやWeb環境も考慮してアクセスを許可するため、より高いセキュリティを実現します。
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ZTNAを実現するメリット
ここで、ZTNAを実現するメリットを詳しく解説します。
●セキュリティポリシーの一元管理による柔軟なネット環境
ZTNAを実現することで、セキュリティポリシーの一元管理が可能になります。これにより、企業はネットワークアクセスを制御し、ユーザーやデバイスごとに異なるアクセス権限を設定することができます。例えば、リモートワークの従業員が増加している企業において、ZTNAは各従業員の役割や必要に応じてアクセス権限を柔軟に調整することができます。これにより、企業全体でのネットワーク管理が簡素化され、効率的な運用が可能になります。
●セキュリティの向上
ZTNAはユーザーやデバイスがネットワークにアクセスするたびに認証と検証が行われるため、不正アクセスや内部からの脅威を効果的に防ぐことができます。また、ZTNAは暗号化技術を活用してデータの保護を強化することや、ZTNAを提供するベンダーからのアクセスポイントと通信し社内ネットワークなどを社外へ隠すことにより、データの漏洩リスクと社外からの攻撃リスクを大幅に低減します。
●高品質な通信の確保
ZTNAは、ユーザーがどこからでも安全に企業リソースにアクセスできるように設計されています。これにより、リモートワークやモバイルワークの環境でも高品質な通信を確保することができます。また、ZTNAは認証を通れば社内ネットワークを経由せずにクラウド上へアクセスできるため、通信の遅延や帯域幅の問題を最小限に抑えることができます。結果として、従業員は効率的に業務を遂行でき、企業は生産性の向上を図ることができます。

エイチ・シー・ネットワークスのHPE Aruba Networking SSEでZTNAを実現
本記事では、ZTNAについて、VPNの違いとの違いや注目されている理由、実現するメリットなどご紹介しました。
最後に、統括的なセキュリティ対策を実現する方法として、エイチ・シー・ネットワークスの「HPE Aruba Networking SSE」をご紹介させて頂きます。
「HPE Aruba Networking SSE」の特徴として、ZTNAだけでなく、SWGやCASB、DEMにも対応することができ、より高性能なセキュリティ対策が可能です。
またZTNAのみ、ZTNA+SWG、ZTNA+SWG+CASB+DEM、ZTNA+SWG+CASB+DEMなど必要に応じて機能をカスタマイズすることができ、企業ごとに必要な機能だけでご利用頂くこともできます。
詳細はぜひ、以下サービスページよりご確認ください。


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