SWGとは?セキュリティ機能・CASBとの違いをわかりやすく解説
- セキュリティ

ネットワーク・セキュリティの進化は、企業が直面する脅威の多様化とともに急速に進んでいます。その中でも、SWG(Secure Web Gateway)は、現代の企業が不可欠とするセキュリティサービスの一つであり、インターネットアクセスを通じた悪意のある攻撃から企業のネットワークを保護するためのゲートキーパーとして機能します。
そこで、本コラムでは、注目されているSWGのセキュリティ機能や、他のセキュリティ技術との違いについて詳しく解説していきます。
目次
SWGとは?
はじめに、SWGについてわかりやすく解説していきます。
●SWG(Secure Web Gateway)とは
SWG(Secure Web Gateway)とは、2021年にアメリカのテクノロジーリサーチ企業のGartner(ガートナー)社が提唱した概念です。
企業や組織のネットワークをインターネット上の脅威から守り、安全にアクセスをするために提供されるクラウド型プロキシです。従来のファイアウォールやアンチウイルスソフトウエアだけでは防御できない高度な脅威に対する対策として注目されています。
具体的には、URLフィルタリング、マルウエア対策、データ漏洩防止(DLP)などの機能を提供し、ユーザーがインターネットにアクセスする際に、悪意のあるWebサイトや不適切なコンテンツから保護する役割を果たします。
例えば、フィッシングサイトやゼロデイ攻撃など、進化するサイバー攻撃に対しても効果的に対処でき、また、リモートワークの普及に伴い、社外からのアクセスも増加している現代において、SWGは企業のセキュリティ対策として欠かせない存在となっています。
●プロキシサーバーとの違い
プロキシサーバーもインターネットアクセスの制御やセキュリティ強化に利用される技術ですが、SWGとはいくつかの点で異なります。
プロキシサーバーは主に、ユーザーのリクエストを中継し、キャッシュ機能を通じてインターネットアクセスを高速化する役割を持っています。
一方、SWGはセキュリティに特化した機能を提供し、より高度な脅威対策が可能です。
また、SWGはプロキシサーバーの基本機能に加えて、リアルタイムの脅威インテリジェンスやAIを活用したマルウエア検出、SSL/TLS暗号化通信の検査など、より包括的なセキュリティ機能を備えています。
さらに、SWGはポリシーベースの管理が可能で、企業のセキュリティポリシーに基づいて柔軟に設定を変更することができます。

SWGのセキュリティ機能
続いて、SWGの主なセキュリティ機能を解説していきます。
SWGにはプロキシサーバーが持っている機能だけでなく、ゼロトラストネットワークをベースとした機能も持ち合わせています。
●IPアドレスの匿名化
クラウド上のブラウザを使ってネット環境にアクセスすることで、外部からIPアドレスを隠しています。これにより、企業は従業員のプライバシーを保護すると同時に、サイバー攻撃者からのターゲティングを防ぎます。匿名化されたIPアドレスは、インターネット上での識別が難しくなり、セキュリティリスクを低減します。
●アプリケーションフィルター
アプリケーションフィルターは、特定のアプリケーションの使用を制限またはブロックする機能です。これにより、企業は不要なアプリケーションのインストールや使用を防ぎ、セキュリティリスクを管理できます。
●URLフィルタリング
URLフィルタリングは、特定のWebサイトへのアクセスやSaaS利用を制限する機能です。これにより、企業は従業員が危険なWebサイトにアクセスするリスクを低減し、マルウエアやフィッシング攻撃から保護します。URLフィルタリングは、ポリシーに基づいて柔軟に設定できるため、企業のセキュリティ要件に合わせた運用が可能です。
●サンドボックス
サンドボックスは、疑わしいファイルやプログラムを隔離し、コンピュータ上の仮想環境で安全に実行するか判断する機能です。これにより、マルウエアや未知の脅威が企業のネットワークに侵入する前に検出し、無害化することができます。サンドボックスは、リアルタイムでの脅威分析を行い、迅速な対応を可能にします。
●アンチウイルス
アンチウイルスは、定められたシグネチャファイルを基に、マルウエアやウイルスの検出と駆除を行う基本的なセキュリティ機能です。SWGに搭載されたアンチウイルス機能は、最新の脅威情報を基にリアルタイムでスキャンを行い、企業のネットワークを守ります。これにより、感染リスクを大幅に低減し、セキュリティの強化を図ります。

SWGが必要とされている理由
ここで、SWGが必要とされている理由を詳しく解説します。
●現代のサイバーセキュリティの脅威
現代のサイバーセキュリティの脅威はますます多様化し、巧妙になっています。こうした脅威に対抗するために、SWGが必要とされています。具体的な脅威の例としては、フィッシング、マルウエア、ランサムウエアが挙げられます。
フィッシング:フィッシング攻撃は、偽のWebサイトやメールを通じて個人情報を盗む手法です。SWGは、リアルタイムでWebトラフィックを監視し、疑わしいサイトへのアクセスをブロックすることで、フィッシング攻撃からユーザーを守ります。
マルウエア:マルウエアは、システムに侵入してデータを盗んだり、破壊したりする悪意のあるソフトウエアです。SWGは、既知および未知のマルウエアを検出し、感染を防ぐための多層防御を提供します。これにより、企業ネットワーク内のデバイスがマルウエアに感染するリスクを大幅に低減できます。
ランサムウエア:ランサムウエアは、データを暗号化して身代金を要求する攻撃です。SWGは、ランサムウエアがネットワークに侵入する前に検出し、ブロックすることで、データの暗号化を防ぎます。これにより、企業は高額な身代金を支払うリスクを回避できます。
●企業におけるSWGの導入メリット
SWGの導入は、企業にとって多くのメリットをもたらします。以下の観点から、その重要性を解説します。
データ保護:SWGは、企業のデータを外部の脅威から守るための強力なツールです。データ漏洩や不正アクセスを防止することで、企業の信頼性を維持します。
法令順守:多くの業界では、データ保護に関する法令や規制が厳格に定められています。SWGは、これらの法令に準拠するためのセキュリティ対策を提供し、企業が法的リスクを回避できるよう支援します。
業務効率の向上:SWGは、不要なトラフィックや悪意のあるコンテンツをブロックすることで、ネットワークのパフォーマンスを最適化します。これにより、従業員が安全かつ効率的に業務を行うことが可能になります。
以上の理由から、SWGは現代のサイバーセキュリティにおいて不可欠な存在となっており、導入することで、さまざまなサイバー脅威からの保護を強化し、業務の効率化と法令順守を実現できます。

知っておきたいCASB(Cloud Access Security Broker)
次に、よく比較をされるCASB(Cloud Access Security Broker:キャスビー)との違いについて解説していきます。
●CASBとは
CASBは、クラウドサービスの利用を安全にすることに対するセキュリティ対策の考え方です。企業がクラウドサービスを利用する際に、アクセス制御、データ保護、脅威の検出などの機能を提供します。これにより、クラウドサービスの利用に伴うセキュリティリスクを軽減し、企業のデータを保護します。
●CASBとSWGの違い
CASBとSWGはどちらも利用者の通信を監視しますが、大きな違いは、監視対象の範囲です。CASBはクラウドサービスの利用に特化しており、クラウドアプリケーションやサービスを監視します。これに対して、SWGはWebサイトやインターネットトラフィックを監視します。そのため、企業がクラウドサービスを利用する際には、CASBとSWGを併用することが一般的です。具体的には、従来のWebサイトのアクセスにはSWGを使用し、クラウドサービスの利用にはCASBを使用することで、全体的なセキュリティを強化します。

エイチ・シー・ネットワークスのHPE Aruba Networking SSEで統括的なWebセキュリティ対策を実現
本記事では、SWGについて基本から機能、必要とされている理由など解説してきました。
最後に、統括的なセキュリティ対策を実現する方法として、エイチ・シー・ネットワークスの「HPE Aruba Networking SSE」をご紹介させて頂きます。
「HPE Aruba Networking SSE」の特徴として、SWGだけでなく、ZTNAやCASB、DEMにも対応することができ、より高性能なセキュリティ対策が可能です。
またZTNAのみ、ZTNA+SWG、ZTNA+SWG+CASB+DEM、ZTNA+SWG+CASB+DEMなど必要に応じて機能をカスタマイズすることができ、企業ごとに必要な機能だけでご利用頂くこともできます。
詳細はぜひ、以下サービスページよりご確認ください。


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