平成医療福祉グループ 様

新たな電子カルテの展開に合わせたシステム基盤を高信頼の環境に刷新
運用負荷とダウンタイムを低減

  • 病院・医療機関
  • ネットワーク
  • 無線LAN
  • サーバー・ストレージ
平成医療福祉グループ 様

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ポイント

  • 自グループに適した電子カルテ用に高信頼な基盤を構築
  • トラブルが減り、業務停止時間やサポートの負荷が減少
  • 標準化を進めシステムの運用性を改善

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導入製品

病院・医療機関のセキュリティネットワーク導入事例集

回復期・慢性期に特化した医療に合わせ独自開発の電子カルテシステムを活用

平成医療福祉グループシステム事業部
事業部長
千田 丈慈 氏

 徳島県で60床の小さな病院を開設してから35年、「絶対に見捨てない。」という理念に基づき医療および福祉に取り組み続ける平成医療福祉グループ。今では全国に100以上の医療機関や福祉施設を展開する大規模なグループになっている。医療に関しては回復期や慢性期を主な領域としており、その中でも特に高齢者向けのノウハウを開業以来ずっと追求し続け、品質の向上に努めてきた。一方、その特性から、電子カルテなどのシステムに関する要件が他の病院とは少し異なるという。

 「当グループの病院は、ほとんどが200床未満で、回復期・慢性期に特化しています。多くの救急患者を受け入れる大病院ほどシステムの要件は厳しくありませんが、その分、予算も大病院に比べ潤沢ではありません。そのため、電子カルテには以前から、大手ベンダーが提供する大病院向けのシステムでなく、グループ内で独自開発したシステムを使ってきました」と、システム事業部長の千田丈慈氏は説明する。

システムのトラブルが多数発生 信頼性の低いインフラの刷新が急務

平成医療福祉グループシステム事業部
副部長
才賀 明 氏

 千田氏は、システム事業部長に就任後、平成医療福祉グループにとって3世代目となる新たな電子カルテシステム「Aloe」の開発および各病院への展開を行ってきた。Aloeの大きな特徴は前世代までの課題を踏まえ業務や運用の標準化を図っていることだ。

 「これまでは、病院ごとにシステムをカスタマイズして導入していたため、メンテナンスが困難でした。また各病院でのシステム運用もバラバラでした。そこで新システムの開発・展開に際しては、すべての病院で同じバージョンを使うこととし、運用の統一も図ることにしたのです」(千田氏)

 Aloeの開発と各病院への展開が始まった後、システムやネットワークの基盤も見直しが行われた。これらも以前は、各病院で個別に構築されており、コストを重視して安価なサーバーや民生品ネットワーク機器を使うことが多かったという。その結果、信頼性が担保できずシステムトラブルが多発し、その対応でシステム事業部の負担も大きくなっていた。システム事業部 副部長の才賀明氏は、以下のように語っている。

 「ITインフラに不具合が生じれば、現場の業務は止まってしまいますし、システム事業部もサポート対応に時間を取られます。サービスレベルの向上を図るためにも、インフラの信頼性を高めることが急務でした」

信頼性と運用性を考慮し製品とパートナーの選定を実施

平成医療福祉グループシステム事業部
インフラ課 課長代理
江崎 大地 氏

 システム事業部では2018年、Aloeのための新たなインフラ構築に乗り出すこととなる。そのパートナーとして他社ベンダーとエイチ・シー・ネットワークスの2社を候補に絞り、両社の提案の比較検討を行った。

 エイチ・シー・ネットワークスが提案したのは、 Aloeを稼働するシステム基盤としてハイパーコンバージドインフラ(HCI)のNutanix、ネットワーク環境にHPE Arubaの有線/ 無線LAN機器という構成だ。システム事業部 インフラ課 課長代理の江崎大地氏は、Nutanixの提案について、こう評価している。

 「Aloeは前世代までのシステムに比べ周辺システムが増えており、多数のサーバーが稼働することになるため仮想化は必須でした。また、Aloeのシステム規模や運用性を考えると、従来の3ティア構成の仮想化基盤でなく、統合されたHCIが望ましいと考えていました。HCIの中でもNutanixは、今までの経験から、信頼性が高い上に運用も楽、とりわけハードウエア更新が非常に容易であることを知っていましたので、適切な提案だと判断しました」

 一方、ネットワーク機器については、調査会社など第三者機関の評価も踏まえ、製品選定を行ったという。同じくインフラ課の小林弘治氏は、次のように語る。

 「Arubaの無線LAN機器は調査会社のレポートでも信頼性が高いと評価されています。また、Arubaのスイッチなどにはメーカーによるライフタイム保証も標準でついている点も大きなポイントでした。ネットワーク機器は、システム基盤に比べるとコモディティ的な側面が強いので、トータルの費用も重要な判断材料でした」

原因究明が難しい問題にも粘り強く対応 システム全体の安定稼働をサポート

平成医療福祉グループシステム事業部
インフラ課
小林 弘治 氏

 こうして、エイチ・シー・ネットワークスが新たなシステム構築のパートナーとして選定され、 Aloe展開に伴うITインフラ構築が進められた。Aloe自体が標準化されたシステムである上に、その基盤もNutanixとHPE Aruba製品で標準化されたおかげで展開は迅速に進んだ。

 とはいえ、必ずしもすべてが順調だったわけでない。現場にはさまざまな課題を克服する必要があった。

 「ネットワークに関しては、以前構築を担当した業者からは既存の環境について何の情報も得られずブラックボックス化していたため、病院ごとに現地調査を数日間実施し論理構成や物理構成を図面に起こす可視化作業が大変でした」と語る小林氏。こうした作業に対して、一部の現場ではエイチ・シー・ネットワークスも協力し構築を進めていった。

 特に無線LANについては、エイチ・シー・ネットワークスがそれぞれの現場に応じた無線アクセスポイント(無線AP)の適切な配置や設定を提案していった。その現場のひとつが、無線LANとスマートフォンを使った「内線電話」、「ナースコールシステム」を採用した2019年4月新設の堺平成病院だ。

 「ナースコールを無線LAN経由でスマートフォンが受信し、IP電話で内線通話するといったシステムで、安定した通話を実現するため無線APは他の病院の数倍もの数を用意しました。エイチ・シー・ネットワークスには無線LAN環境の構築だけでなくナースコールシステム、内線電話や端末のベンダーにも協力して、システムの検証や調整を進めていただきました。オープン直前には原因究明が難しいトラブルにも見舞われましたが、何度も設定を変えては辛抱強くテストを重ね、きちんと解決してくれました。おかげで、オープンから今まで問題は出ていません」(小林氏)

ネットワーク停止が大幅に減少 運用性の高い電子カルテ基盤を確立

 こうしてシステム基盤を更新した病院では、以前に比べトラブルが大幅に減っていると小林氏は話す。
 「サポート課によると、ネットワークをHPE Arubaに移行した病院からはほとんどトラブルの連絡がないと聞いています。以前の環境ではネットワーク停止時間が年間41時間にも達した病院もあり、1日に何度もトラブルで呼び出されるようなこともありましたが、HPE Arubaのネットワークを導入した病院の多くは、9カ月間でネットワーク停止は発生しておらず、大きく改善しています。しかも、切り替えに伴って誰でも分かりやすいよう配線の命名規則を作り適用したことで現地サポート職員が構成を理解でき、その場でトラブルや軽微な変更対応を完結できるようになりました。インフラ職員が病院へ駆けつける必要がなくなり、今まで以上に迅速なサポート対応ができるようになりました」

 カスタマイズを排除しグループ全体で標準化したAloeをNutanix上で稼働させていることも、運用を大きく改善する効果をもたらした。

 「Aloeではすべての病院で同じバージョンを使うので、ソフトウエアの修正やアップデートも容易になりました。標準化したことで、今後オーケストレーションツールなどで効率化することも視野にいれています。システム基盤も、HCIならではの特性として、部品交換やリソース追加、そして将来的なハードウエア更新さえも無停止でできます」(江崎氏)
 
 平成医療福祉グループでは今後、残る病院にもAloeおよびNutanix、HPE Arubaによるシステム環境を展開し、すべて入れ替えていく計画だ。

 「システムを標準化することで、そのメンテナンスは共通の手順書で行えるようになっていきます。しかも今回のインフラ刷新によって、トラブルの状況、あるいはその予兆についても、リソースの値などを客観的な指標で監視できるようになっています」と千田氏。また「システム事業部以外の人たちにも、『導入コストさえ安ければいい』といった以前の考え方を改め、『多少のコストを費やしてでも安定稼働や運用の効率化を』といった考え方が浸透し始めています」と話し、今回のシステム刷新による成果に手ごたえを感じている。

 今後は、病院だけでなく福祉施設に対しても徐々にIT化を推進させ、平成医療福祉グループの実績を基に、日本の医療福祉業界のIT化に影響を与えていきたい。

お客様情報

平成医療福祉グループ 様

URL:https://hmw.gr.jp/

「絶対に見捨てない。」という理念を掲げ、主に回復期や慢性期の医療および介護を手がける、医療・福祉関連のグループ組織。1984年に徳島で開設した60床の病院を発祥として、地域からの要請による新規開設や、既存医療機関の経営再建などを通じて、病院やクリニック、介護福祉関連施設、そして人材育成のための学校などを東京や大阪など日本各地に展開してきた。2019年3月時点では26病院、86施設を運営し、職員数は約1万4000人を擁する。

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