無線ネットワーク構築

大阪府 岸和田市 様

ゆめみヶ丘防災センターおよび 旭・太田こども園無線環境整備導入

市立こども園の業務改革、防災拠点の対応力強化を目指し
無線LAN環境を導入し出先機関の業務デジタル化を推進

  • 官公庁・自治体
  • ネットワーク
大阪府 岸和田市 様
大阪府 岸和田市 様

大阪府 岸和田市 様

ポイント

  • 市営施設の新設に合わせて業務デジタル化を推進
  • 業務効率化に加えセキュリティと利便性、メンテナンス性にも配慮したネットワーク設計
  • 年度末かつ新築竣工後の限られた期間で構築

導入製品

官公庁・自治体のセキュリティネットワーク事例集

総合計画のデジタル技術活用に基づき業務効率化や行政運営の見直しを推進

 大阪府南西部、いわゆる泉南地域に位置し、大阪湾から和泉山脈までの細長い市域を成す岸和田市。中心市街は江戸時代に城下町として発達してきた歴史があり、勇壮な「だんじり祭」でも知られる「城とだんじりのまち」だ。工業では高度成長期の1966年(昭和41年)に臨海部の埋め立てにより鉄工金属団地や木材コンビナートが建設されるなど、時代に合わせて多彩な分野の製造業が活躍。古くからの街道筋である中心街には多くの商店が集まっているほか、臨海部の大型ショッピングモール、丘陵部の道の駅など、商業施設も市内に広く存在している。

 また、海から山までの多彩な地理的環境を生かした農業や水産業も盛んだ。大阪湾に面した沿海部では3つの漁業協同組合が活動し府内屈指の漁獲量を誇る一方で、内陸側では和泉山脈北麓から台地にかけて広い地域で農業が行われている。農作物としては、溜池灌漑による水田稲作のほか、地域特産の「泉州水なす」をはじめ、タマネギやニンジン、春菊といった各種野菜の栽培、さらにミカンや桃といった果樹栽培などが主流だ。

 2022年に市制施行100周年を迎えた岸和田市では、「"新・岸和田"づくりの総合計画」として、2023年から2034年にかけての基本計画を策定。「笑顔にあふれ、誰もが"幸せ"を感じる都市」の実現を基本理念とし、市民や市内の各種事業体、団体などと行政が協力し合って目指していくとしている。

 この総合計画には「技術革新がもたらす社会と技術の活用」として、デジタル技術の活用方針も盛り込まれた。具体的には、行政内部におけるAIやRPAなどを活用した業務効率化や、新たな技術を活用した行政運営のあり方も見直しを進めるとともに、行政だけでなく都市全体で革新的技術の活用を推進するとしている。この方針に沿って「岸和田市行政DX推進計画」も策定し、2024~2028年の計画で市の行政手続きや窓口業務、学校・保育園の業務DXに取り組んでいる。

職員の現場業務のデジタル化を念頭に無線LAN環境の整備に取り組む

長江 和正氏
岸和田市役所 総務部 IT推進課 担当長
長江 和正氏

 この基本計画期間に整備が進められていた施設が、2025年3月に完成した「ゆめみヶ丘防災センター」と「岸和田市立 旭・太田こども園」だ。

 ゆめみヶ丘防災センターは、消防職員や消防団員の訓練・研修に加え、市民とともに防火・防災・減災について学び、発信する場所として整備された。大規模災害等に備えた消防活動拠点機能も備え、市役所や消防本部などと連携した活動も想定されている。

 旭・太田こども園は、「岸和田市立幼稚園及び保育所再編方針」に基づく市立幼稚園・保育所の再編の一環として整備された、岸和田市初となる公立の幼保連携型認定こども園だ。老朽化していた市立太田幼稚園を解体、その土地を活用し建設することにより、2025年4月に開園。0歳児から小学校就学前の子どもを対象に一貫した教育と保育、地域の保護者に対する子育て支援まで総合的に提供する。

 これらの新たな施設には、前述のデジタル活用方針やDX推進計画を踏まえ、職員のDXに用いるインフラとして無線LAN環境も整備された。岸和田市役所 総務部 IT推進課の長江 和正氏は、それぞれの施設における無線LAN環境の意義や活用目的を、次のように説明する。

 「防災センターでは、防災学習などで市民も利用するうえに、災害時などは外部から応援スタッフが加わることも想定されています。そこで、場所にとらわれず端末を利用するために会議室などにも無線LANを整備することにしました。これにより災害時にも、配線などの手間をかけることなく、応援スタッフがすぐPCを使えるようになります。こども園については、手書きが多用されてきた現場業務をデジタル化することで効率化を図り、保育・教育の業務支援クラウドサービスなどのアプリケーションを活用する計画で、そのインフラとなる無線LAN環境を整備することにしました。保育室などでも端末を利用するため建物全館で途切れないこと、タブレット端末などとの相性に問題がないことを要件としています」

 これらの施設では、セキュリティやメンテナンス性に関する要件を共通のものとした。セキュリティ面では、総務省が定めた「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に準拠するIEEE802.1XのEAP-TLS認証を採用。クライアント証明書とコンピュータ認証を併用することで、セキュリティと利便性の両立を図った。メンテナンスに関しては、両施設とも市役所の本庁舎から離れた場所であるため、リモートでの状況把握やメンテナンスが可能であることを要件に盛り込んでいる。

システム図

システム図

自治体での構築実績などを総合的に評価しエイチ・シー・ネットワークスを選定
開園までの限られた期間で構築を完遂

上野 明日香氏
岸和田市立 旭・太田こども園 保育士
上野 明日香氏

 これら2施設における無線LAN整備にはエイチ・シー・ネットワークスが選定された。 「もちろん指名競争入札ですから、入札に参加する業者は市に登録している業者の中から登録内容や実施能力、実績などを考慮して選定、指名しています。エイチ・シー・ネットワークスは、他の自治体・公共団体での実績が豊富なことから指名対象となり、金額面でも優位性があったため落札となりました」と長江氏は説明する。

 2つの施設は、どちらも2025年4月に開設を予定して建設が進められたもので、無線LAN整備事業が落札された2024年11月時点では、建屋はほぼ完成していた。エイチ・シー・ネットワークスは、その状態から無線LAN整備を行い、2025年3月には完了している。

 「新築の施設で開設までの限られたスケジュールに合わせてくれるなど、エイチ・シー・ネットワークスは納入・施工・成果のいずれにおいても申し分なく、評価は満点に値します。もちろん、施設開設後も安定して稼働し続けています」(長江氏)

業務デジタル化
業務デジタル化により子どもたちと接する時間を増やすことができる

 旭・太田こども園の保育士、上野 明日香氏は、全館の無線LAN整備で可能になった業務改革について、以下のように語っている。

「当園で採用しているクラウドアプリは、子どもたちの登降園管理や保護者への連絡帳、保育風景などの写真共有といった機能を持つツールであり、日々の業務で使っています。どの部屋でも無線LANが使えるように整備してもらったので、保育室で子どもたちのお昼寝の様子を見守りながら、アプリで日誌や連絡帳を記入する、といったことも可能になりました」

2施設での無線LAN整備を踏まえ多様な働き方を可能にする新庁舎の整備も計画中

西田 幸平氏
岸和田市役所 子ども家庭応援部
こども園推進課 担当長
西田 幸平氏

 岸和田市役所 子ども家庭応援部 こども園推進課 担当長の西田 幸平氏は、旭・太田こども園での成果を受けて、今後も同様の取り組みを進めていくと説明している。

「保育の現場は今でも手書きが多く、特に連絡帳や登園記録などはデジタル化が進んでいませんでした。ですが、無線LANを活用した業務のデジタル化により、業務効率化が実現できました。現在ではもう一つ新たなこども園の設置を進めており、そこでも同様の業務IT環境を整備する方針でいます。こども園は市民の目にも触れる場ですから、市の業務改革としても認知が広がるのではないかと期待しています」

そして岸和田市では現在、新庁舎の整備を計画中だ。新庁舎整備計画に関連して、岸和田市役所総務部 IT推進課の金本 直也氏は、エイチ・シー・ネットワークスに対する期待を以下のように語っている。

金本 直也氏
岸和田市役所 総務部 IT推進課 担当員
金本 直也氏

「市のネットワークはセキュリティを重視しなければなりません。エイチ・シー・ネットワークスは、その要求にもきちんと対応できることを示してくれました。新庁舎のネットワーク整備についても、その実力を存分に生かしてもらえる案件と思います。調達の際には是非参加を期待しています」

 今回の2施設では、現在の行政DX推進計画を踏まえたネットワーク環境を整備したが、ネットワークの要求仕様は、今後の新庁舎整備においても基本的に踏襲される想定だ。

「2施設で無線LANを整備したことにより、インフラ整備を担当するIT推進課としては配線を減らせるといったメリットも感じています。新庁舎の計画でも、働き方の多様化を前提として庁舎内の無線LAN整備を盛り込んでいます。それに向けても今回の2施設は成功事例と言えます。エイチ・シー・ネットワークスは他の自治体や公共団体などの実績も豊富ですし、今後またご縁ができれば、その知見をぜひ発揮していただきたいですね」(長江氏)

お客様情報

大阪府 岸和田市 様

URL:https://www.city.kishiwada.lg.jp/

メンバー写真
前列左より 上野様、西田様、長江様、金本様
後列左より エイチ・シー・ネットワークス
第一営業本部西日本支店関西営業G 萩原佑季
第一システムエンジニアリング本部
第二エンジニアリング部第一G 楠本健太
第一システムエンジニアリング本部
第二エンジニアリング部第一G 中島実優

古くから「城とだんじりのまち」として知られる一方、工業や農業・漁業、商業まで幅広い産業に支えられる自治体。関西国際空港から車で約15分という好アクセスの場所に位置し、大阪都心部からはJR阪和線、南海電鉄南海本線、阪神高速湾岸線、阪和自動車道が通じている。

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