慶應義塾大学 様
4大学連携の遠隔講義。
ITスペシャリストに選ばれた運用管理ツール、
Conference@Adapter(カンファレンス・アダプタ)
- 文教
- ビデオ/Web会議
慶應義塾大学 様
課題
- 遠隔授業の相互性を高めるための高音質化、高画質化
- 内蔵MCUでは多地点接続の運用に制約がある
- 運用面での手間やコストを低減するための自動化
ソリューション
- ハイエンドモデルPolycom HDXシリーズによる高品位画像の提供
- HDテレビ会議に対応したPolycom多地点サーバ
- Webブラウザによって簡単予約できるConference@Adapter(カンファレンス・アダプタ)
効果
- HDによる臨場感コミュニケーションの実現
- MCUサーバによる本格的な多地点での遠隔授業中継
- 事前スケジュールによるユーザ運用負荷の削減
導入製品
- Conference@Adapter
- Polycom RMX 2000
- Polycom HDX シリーズ
4大学、5つの研究科を連携する遠隔授業
※本事例は、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科後期博士課程 工藤 紀篤 氏へのインタビューです。
先端ITスペシャリスト育成のために4つの大学、5つの研究科で行われている授業を共有し合うことが、テレビ会議システム導入の端緒であった。
多地点で行われる、インターネットによる遠隔授業中継の実現である。
「各大学にはそれぞれの分野での第一人者の先生がいますから、学生は遠隔授業によってどの大学にいても一番いい授業に参加できるようになります」
教室間をつないだり、海外の先生を教室に招いて講演をしてもらうことで、大学の違いに関係なくコラボレーションできる環境が生まれる。
「授業を共有するのはもちろん、研究を共同で行えるようにするために、どうすればより良い環境になるのか、システムに求められているものは何かなどを研究した結果、HD〔High Definition(ハイディフィニション)〕化が必須になった。Polycom(ポリコム)社のHDX 9000シリーズを採用したポイントは、映像音声入出力などの豊富な入出力インターフェースによる教室に組み込む際の自由さ、世界各国の大学研究機関で利用されている既存のシステムとの接続性です」
"HD化"でさらに進化した遠隔授業中継
遠隔授業中継を行う上で、HD(High Definition)化が前提となっていた。導入を決めたのは2006年の12月のこと。初年度は先端ITスペシャリスト育成プログラムの環境整備をはかることになり、2007年3月までに環境を構築。同年4月から本格的運用を開始した。
「導入したPolycom社のHDX 9000シリーズは、それまで使っていたシステムに比べて、音声がとてもクリア。ともするとHDに目が行きがちになりますが、遠隔授業で最も重要なことは、クリアな音声です」
「もちろんHD化による高精細な映像も大きなメリットです。ホワイトボードに書かれた文字も読み取れるので、板書を多用される先生でも遠隔授業が困らないようになりました」
HD化による遠隔授業中継は以前のシステムと比べて大きな差が現れると言う。
「以前は人の表情が読み取りにくかった。HDならはっきりと顔がわかり、表情までわかります。これによって人物を特定できるようになりますから、例えば遠隔で受講している学生を教室にいる学生と同じように指名できるようになると思いますし、遠隔の受講者とオフラインで会った時にも、すぐにわかるようになるでしょうね」
運用面を大幅に改善した
Conference@Adapter (カンファレンス・アダプタ)
導入後のプロセスの中で新たな課題が出てきた。運用コストである。
「いままでは、システムの操作は授業の始まりと終わりに学生のアシスタントがやっていました。2000年頃のインターネット遠隔授業はまだ研究段階で学生が研究を兼ねてボランティアでやっていたのですが、いまはすでに運用のフェーズに入っているので、運用コストが問題になってきたのです」
こうした要望に応えたのが、日立電線ネットワークスが独自に開発した、多地点での会議管理を行うConference@Adapter (カンファレンス・アダプタ)である。
「最大5地点での授業中継を行っています。初年度はHDX 9000シリーズの内蔵MCUを使っていましたが、運用上の制約がありました。そこで、本格的なMCUサーバPolycom RMX 2000の導入を決定しました。しかし、RMXにはスケジューリング機能がなかったので、RMXの予約システムとして日立電線ネットワークスのConference@Adapterを導入することにしたのです」
Conference@Adapterは、Webブラウザで会議予約と検索が簡単にできるもので、遠隔授業の効率的な運用管理を実現するアプライアンス製品である。
「Conference@Adapterによって、運用コストが大幅に削減できています。いままでは傍でリモコンを操作するスタッフが必要でしたが、それを自動化することができました。Conference@Adapterに1週間の授業予定を登録しておくと、授業の開始10分前になると教室と教室が接続されて遠隔授業が始まります。授業が延びる可能性があるので、授業の10分後に自動的に切れるようにしています。学生が管理・運用する上でだいぶ簡単になりましたね。またトラブル発生時にもどの地点が接続されているか、機器のステータスがどうなっているかが一覧できるようになり、対応が容易になりました」
「このConference@Adapterはかなり重要なツールです。RMX 2000を扱っている代理店は他にもありますが、トータルに見て他社で提案できるところがなかった。開発力の高さを感じます」
市場での発売開始前に、RMXのベータテストを日本で唯一実施しているのが日立電線ネットワークス。その実力がいかんなく発揮された。
遠隔講義(テレビ会議システム)ネットワーク構成図
先端ITスペシャリスト育成プログラム
慶應義塾大学大学院の政策・メディア研究科、同大学院理工学研究科、早稲田大学大学院の基幹理工学研究科、中央大学の理工学研究科、そして情報セキュリティ大学院大学の情報セキュリティ研究科という、4大学・5研究科が、先端ITスペシャリストの育成のために連携して行われているプログラム。
IPv6で広がる、ビデオ・カンファレンスの未来へ
遠隔授業の今後について説明する。
「例えばアジアの国々では、日本にいる優れた先生の聴講を希望する声が高いのです。しかし、勉強したかったら海を渡って日本に出かけていかなければならない。そんな状況に対して我々が貢献できるのではないか。このシステムを通して良質なコンテンツを届けることができるのです」
グローバルな連携を進める上でも、簡単に利用できるインフラを提供していくことが、日立電線ネットワークスに課せられた命題と言えるだろう。
「次世代のIPv6になってend to endのコミュニケーションがグローバルにより円滑に行われる環境とモバイルも含めて、どこでもブロードバンドインターネットが利用できる環境の整備が進めば、テレビ会議システムはもっと進化していくと思います。モバイルからカンファレンスまでシームレスにつながり、いつでもどこでも必要なミーティングや授業を共有できるようになると思います。提携している大学との間で授業の共有、研究者の交流がもっと行われるようになるでしょう。ビデオ・カンファレンスやインターネットで日本を引っ張っていって欲しい。一緒にビデオ・カンファレンスの未来を創っていきたいですね」
ITスペシャリストから日立電線ネットワークスに寄せられる期待は、これからも熱い。
慶應義塾大学大学院 様
政策・メディア研究科
修士課程では社会のニーズに応える専門知識と実践的な問題発見・解決能力を身につけたプロフェッショナルの養成を目的としています。
プロジェクトを実施する経験を通じて、組織経営、政策形成、ソーシャルイノベーション、都市の設計、地球環境問題、情報技術、知識処理技術、バイオ技術などの分野で活躍が期待されています。
お客様情報
慶應義塾大学 様
湘南藤沢キャンパス(SFC)は、総合政策、環境情報、看護医療の3学部と政策・メディア、健康マネジメントの2研究科から成ります。敷地面積は約10万坪。
建物は中心部に集中して建てられ、周囲は自然そのままを活かしたセミナゾーンとして整備されています。
ハイテクと自然が調和する未来型キャンパスで、充実したキャンパス・ネットワーク・システムにより、塾生、教職員間の活発なコミュニケーションが図られています。
所在地 | 湘南藤沢キャンパス 神奈川県藤沢市遠藤5322 |
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設立 | 1990年 |
学生数 | 4,866名(2008年5月1日現在) |