山梨県 甲州市教育委員会 様

県内に先駆けGIGAスクール構想の全校無線LANを整備
Account@Adapter+の活用でセキュアな学びの場を実現

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山梨県 甲州市教育委員会 様

山梨県 甲州市教育委員会 様

ポイント

  • 証明書認証により正規端末を安全に接続できる無線LAN環境を実現
  • 必要な機能を網羅したアプライアンスで構築や運用が容易
  • 信頼性が高くセキュアな環境で新たな学びを実践

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導入製品

官公庁・自治体のセキュリティネットワーク事例集
文教のセキュリティネットワーク導入事例集

山梨県内屈指のICT教育先進自治体
GIGAスクール構想にも一早く対応

甲州市教育委員会
教育長
保坂 一仁 氏

 甲州市は、山梨県北東部、甲府盆地の東の端に位置する、人口約3万人の地方自治体だ。
 「甲州市は、歴史的な建物や文化財が多く、近年でも、31文字の仮名文字を刻んだ10世紀頃のものとみられる杯『和歌刻書土器』が市内の遺跡から出土し、貴重な発見として幅広い分野の研究者から注目されています。こうした背景から、教育大綱でも『人・自然・ふるさとを愛する甲州教育』という基本理念を掲げ、地域を深く知って誇れるような子どもたちを育てられるよう心掛けています」と、甲州市教育委員会 教育長 保坂 一仁氏は説明する。
 甲州市では、「自立して生きぬく力を培う教育の推進」「物事に興味・関心をもち、考えぬき、やる気を育む確かな学力の育成」などの項目を重点施策に掲げている。そのための手段のひとつとして、甲州市ではICT教育にも力を入れており、この分野においては県内屈指の先進自治体という。
 「甲州市には小学校13校、中学校5校がありますが、このうち数校は1学年30人に満たない小規模校です。こうした学校では学びの格差が出てしまうので、ICT教育が重要になります。例えば、複数校をTV会議でつなぎ、合同授業を行うなどしています。財政面については、文部科学省などの推進事業に積極的に参加して予算を確保し、技術面では業者の力を借り、ICT環境の充実を図ってきました。それから、教員たちにICT活用を進めてもらうため、各校の情報担当や推進リーダーを集めた情報教育推進委員会を定期的に開催し、ノウハウを共有することで、教員たちのICTスキルアップを図っています」(保坂氏)
 そして、文部科学省が掲げる「GIGAスクール構想」においても、甲州市は迅速に対応した。本構想は、児童・生徒に1人1台の端末、学校に無線LANを整備し、これらを活用して学習活動の一層の充実を図るというもの。しかし、もともと5カ年計画だったものが、コロナ禍で大幅に短縮されたため、対応が間に合っていない自治体も多いのが実態だ。
 甲州市役所 教育総務課 主幹 河村 敬氏は、「GIGAスクール構想で示されている校内通信ネットワーク環境を、県内で最も早く構築したのが甲州市です。2020年11月には完成検査を済ませています」と強調する。

学びの機会を保証すべく
独自に端末調達を実施
セキュリティも留意し短期間で整備

甲州市役所
教育総務課 主幹
河村 敬 氏

 ICT教育に力を入れてきた甲州市だが、ネットワーク・端末の整備ではアドバンテージがあったわけではないようだ。
 「これまでは事業ごとにネットワークを整備する形であり、学校内に無線LANを整備するところが、なかなか実現できませんでした。ただ、コロナ禍で休校を余儀なくされてしまったため、GIGAスクール構想への対応をとにかく急ぐことにしました」と保坂氏は振り返る。
 端末の整備では、国の指針を受けて共同調達を図る自治体が多い中、甲州市では独自に調達を行い、必要な台数を迅速に確保することに成功。ネットワークに関しても、県内の事業者と相談して整備を急いだ。
 小中学校と教育委員会本部を自営光ファイバーで結び、インターネットへの接続には県が整備した山梨県教育セキュリティクラウドを活用。各校に展開した無線LANは、正当な端末だけが接続できるようネットワークセキュリティを施している。このセキュリティ機能を担っているのが、エイチ・シー・ネットワ-クスの認証アプライアンスサーバー「Account@Adapter+」だ。具体的には、無線LANに接続する端末を認証する認証サーバーや、その認証で用いる電子証明書を発行・管理する認証局、および認証に成功した端末へIPアドレスを払い出すDHCPサーバーとして機能している。物理的に離れた場所にある2台が冗長構成として稼働し、全18校をカバーする。
 このネットワーク構成を設計・構築した事業者は、以下のように説明している。
 「GIGAスクール構想において、ネットワークセキュリティの具体的な要件は指定されていませんが、近年のネットワークセキュリティ事情を踏まえると、IDとパスワードだけでなく証明書による認証を追加するのが望ましいといえます。認証サーバーや認証局には、Windows Serverなど汎用サーバーを用いて構築する方法もありますが、運用や障害時の復旧などに手間や時間を要する可能性があります。今回の補助要件では学校内に機材を設置することから、アプライアンス製品が適していると判断しました。アプライアンスは信頼性や安定性に配慮して設計・製造されているため、運用に手間がかからず、故障時にも交換して設定を入れ直すだけで済みます。そこで、認証サーバー・認証局に加え、DHCPサーバーや冗長構成にも対応するなど機能が充実し、かつ導入コストも抑えられるAccount@Adapter+を選定しました」
 Account@Adapter+の導入は順調に行われ、ネットワーク全体の運用を開始してからも安定稼働しているという。

新たな学びの形で意欲・関心が向上
「個別最適な学び」にも一歩近づく

 河村氏いわく、以前からのICT教育への取り組みが功を奏し、スムーズに使い始めることができたとのこと。また、今回の整備でさまざまな効果が得られたという。
 「従来の学びは『黒板』を使った一斉授業だったため、中には授業に集中していない子もいました。しかし、端末を配ってからは、どの子も端末から目をそらさず集中して学んでいます」(河村氏)
 また甲州市では、児童・生徒が端末を自宅にも持ち帰って学ぶ実証にも着手している。2021年度には、デジタル教科書への取り組みも開始する計画だ。
 GIGAスクール構想に基づく環境を整備したことで、児童・生徒は教科書にない知識、教員が提示した内容とは違う切り口の考え方などを、端末とネットワークを通じて得ることができるようになり、考える幅が広がったと保坂氏は評価している。
 「文部科学省がいう『個別最適な学び』を実現しつつあると、自負しています。とはいえ、これまでの日本的な学びにも違った良さがありますから、今後はそれぞれの良さを上手に生かし、両輪で進めていきたいですね」(保坂氏)

「教えやすい環境」をめざし
教員のICT活用をサポート

 Account@Adapter+が支えるセキュアで安定したネットワークは、教員たちのICT活用にも効果を及ぼしている。
 「これまでにも、教員たちのスキルアップを図るため、ICT教育推進チームが中心となり、デジタル教材などの操作を動画としてメディアサーバーで共有するといった取り組みを行っていました。さらに2020年度は、コロナ禍のため学園祭を保護者なしで実施することになりましたが、今回構築したネットワークを通じてライブで配信するなど、授業以外の領域でもICTが活躍しています」と河村氏は言う。
 今後は、ICTに苦手意識をもつ教員たちをどのようにサポートしていくか、といった点が大きな課題になっている。
 「教員が働きやすい環境を作ることも、教育委員会の仕事です。ICTに苦手意識をもつ教員もいます。教員全員が、『教えやすい環境だ』と思ってくれるようなしくみにしていくために、今後も『皆が使えて、皆で進める』を合言葉に全力でバックアップしていきます」(保坂氏)

お客様情報

山梨県 甲州市教育委員会 様

URL:https://www.city.koshu.yamanashi.jp/

甲州市は、平成17(2005)年11月1日、勝沼町、大和村、塩山市が合併して発足した、山梨県北東部に位置する地方自治体。市の大半は、甲府盆地を取り巻く山岳地帯や、そこから流れる複数の河川が作り出した複合扇状地が占め、このうち扇状地では水はけの良さを生かした果樹栽培が盛んで、勝沼地域(旧勝沼町)は明治時代から140年以上の歴史を誇る国産ワイン醸造でも有名。人口は令和3(2021)年2月1日現在30,725名。

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